2005年2月の雑記帳


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2月28日(月)
地域観光ポータル

 JR九州が「九州のイチオシ情報」サイト(日本経済新聞、2月27日):細かい地域情報を活字メディアなどで効率よく集めるのは難しいことであり、ランダムサーチが容易なネットワーク上のデータベースが効果を発揮する分野。しかし、そのデータベースを作り上げていくのはなかなかたいへんなことだと思います。こういう試みは目新しいものではなく、特に北海道などでは、さまざまな形でデータの集約が見られました。しかし、地方自治体や観光協会が主導するケースが多く、このため取り扱う地域がごく限られたものにとどまり、結果として、利用者をアクセスさせるだけの“引き”に欠けていたのも事実。情報は集まりにくい、集めにくい、中途半端、というケースが目立ったという記憶があります。しかし今回は、地域を束ねるローカル企業が広域的に観光情報を集めるわけで、新しい展開が期待できそうです。九州に限らず、各地域ごとのさまざまな情報を集約したポータルサービスのようなものができれば便利でしょうね。地図情報などとの連携も容易でしょうし、交通チケットの予約などは携帯電話から行えるように……など、可能性は大きく広がっていくと思います。今後に期待。

2月27日(日)
“イメージ”って何でしょう

 早朝深夜の窓口無人へ 1日から JR恵那駅を合理化(中日新聞・岐阜、2月26日)/JR恵那駅、窓口営業短縮へ 「観光に痛手」市側が猛反発(岐阜新聞、2月26日):経営合理化の一環として、JR東海が行った合理化に対して、地元自治体が待ったをかけたというもの。観光客を呼び込むための拠点として、駅がいわば“地域の顔”としての役割を担うことは間違いありませんし、その運営のありかたに対して、自治体がさまざまな提案をするのは当然です。しかし今回の場合、クレームの中心が市の玄関口の駅が子会社に委託となればイメージが悪い(岐阜新聞)というのは不可解。観光客を中心とした旅客に対するサービス低下への懸念であれば理解できますが(今回、窓口営業時間の短縮という問題も含まれています)、業務委託による合理化への抗議は、自治体がはたして行うにふさわしいものかどうか。利用客にとって、業務を行う駅員が正社員であるか委託要員であるかなどは、まず気にすることなどない些細な要素であって、切符の発売やきめ細かい案内があればよく、さらには人がいることによる安心感がもたらされれば、多くを望むことはないと考えます。駅の無人時間帯を減らしたいのであれば、自治体側で該当時間の管理要員を配置して簡易観光ガイドとパトロール役を兼務させるといった方策も考えられるでしょうが、新聞報道を見るかぎり、自治体側からの具体的なアクションは何もないようです。

 労働組合からの要請でもあれば格別、観光客に対するイメージを根拠とした“業務委託”に対する抗議は、自治体のメンツというレベルの問題に思えてなりません。その地域だけにおいて事業を展開している企業ではないのですから、口を出せない範囲は確然と存在するわけで、それを曖昧にした地方行政の民業への介入には、どうにも納得がいきかねます。地域起こしには産官連携が欠かせない以上、既存のサービスを“あるのが当然”と考えるという発想そのものを変えていく必要が求められるでしょう。

2月26日(土)
駒ヶ岳ケーブルカー

 伊豆箱根鉄道:箱根・駒ケ岳ケーブルカーを廃止(毎日新聞、2月25日):ケーブルカーの中には、うらぶれた“往年の観光地”へのアクセスと化しているものがけっこうありますが、伊豆箱根鉄道の駒ヶ岳ケーブルカーはその最右翼でした。弊サイトでも、駒ヶ岳登り口駒ヶ岳頂上両駅の写真を掲載しておりますが、私が乗車したときには商店など影も形もなく、頂上はただひたすら霧に覆われぼろぼろの舗装が広がるのみ、昼間といえどもなかなか不気味な空間でありました。

 西武鉄道問題のあおりという側面もあるのかもしれませんが、それ以前に、観光アクセスとしての機能をすでに失っていた路線であり、廃止もやむを得ないでしょう。寂しいのは否めませんが、観光地の盛衰もまた時代の流れの中で起こる必然として、受け止めたいと考えます。

2月25日(金)
これがホントの二転三転?

 北陸新幹線福井駅:3階から2階建てに構造変更へ−−県議会で西川知事(毎日新聞・福井、2月24日):2階建てにした場合、3階建てにした場合のメリットとデメリットを具体的に示さず、単にコストがどうのこうのと説明されても、納得いく形でまとまるとは思えません。市の玄関口となる駅は、都市計画の中でも重要な位置にあるはずですが、それゆえに政治的な駆け引きが介在する可能性が高く、妙な“妥協案”でまとまってしまうことは避けていただきたいものです。同じ福井県では、JR越美北線:福井豪雨で鉄橋流出 早期全線復旧で合意−−県とJR西日本(毎日新聞・福井、2月17日)という朗報もあるだけに、水を差す格好にならなければよいのですが。

2月24日(木)
ポリシー微修正

 サイトの「ご案内」ページの内容を大幅に手直ししました。これにあわせて、掲示板での書き込みもメールアドレスの記入を必須とさせていただくことにいたしました。一方的に書き込まれるだけでなく、こちらからお問い合わせをさせていただく可能性も留保することで、発言内容に責任を持っていただくことを目的としております。

 実際には、みごとに閑古鳥が鳴いている以上、特段気にする必要はないのかもしれませんが、いったん秩序が崩れてそのまま立ち直れずに消えていった掲示板をいくつも見てきたこと、また過去の弊掲示板の動向を考慮し、お願いする範囲を変更したことが理由です。

 現在、時間を見つけては都内をあちこちぶらついていますが、訪問先が美術館や博物館に偏しているような気がいたします。順調にいけば、3月ごろには久々に旅行ができる予定ではありますが、今のところは大きく身動きが取れる状態ではないため、どうしても…。

2月22日(火)
簡単じゃないでしょう

 ふるさと銀河線:住民ら1400人、存続訴え 陸別町で大集会(毎日新聞、2月21日)/銀河線存続訴え1400人 「廃止なら過疎進む」 陸別で集会(北海道新聞、2月21日):例によってローカル線の話題。大量輸送機関としての鉄道を維持するためには、定期的な需要の創出が不可欠です。しかし、沿線人口は稀薄、メジャーな観光資源とも縁の遠い、北海道ちほく高原鉄道の存廃問題が議論されてからかなりたちます。営業実績は惨憺たるもので、今にいたるまで廃止が正式に決定していないというだけで、十分に驚嘆に値するといえましょう。

 しかし、前者の記事にある線路を高速化し、特急を走らせれば簡単に黒字になるという“提案”には、首をかしげざるをえません。第一の問題点は、北海道の移動は基本的に札幌指向であり、それ以外の都市間輸送は稀薄であるにもかかわらず、高速化により有効需要を創出できるのかどうかです。話題となっているちほく高原鉄道は、地図を見るだけであれば、北見、帯広という中規模都市を連絡するという役割を担わせることが可能に見えますが、この両都市の繁き往還が行われているようには思えず、それぞれが独立した経済圏の中核となっているものと思われます。北見と札幌という視点でみれば、現状の石北本線経由に比べて所要時間を若干短縮することは可能かもしれませんが、事業者が複数になるうえ、1社あたりの乗車距離短縮に伴う対キロ運賃の上昇に伴い、運賃・料金が双方とも大きくなるでしょう。こういった限界を見据えたうえで妙策があれば格別、さもなければ“簡単”などというフレーズを持ち出すのは、現状を否定(批判にあらず)することで話題を提起する以上の意味があるとは思えません。貨物の場合は、苫小牧港方面への需要が期待できないことはないでしょうが、これも運賃が高コスト化の障害となり、重軌道化してもムダに終わると考えるのが自然でしょう。

 いったん廃止された鉄道路線が復活することは、まず考えられません。だからこそ、鉄道の存続を強く求める声があがるのもうなづけます。旧・渚滑線沿線に住んでおられる方の声にも、痛切なものがあります(もっとも、「鉄道廃止」と「過疎化の進行」の間に、右方向への因果関係があるのかどうか疑問がありますが)。しかし、空回りした“熱意”のツケが、数年後にやってくるのが、鉄道事業のつらいところ。それは、10年程度以上のスパンで鉄道を眺めてきた人が、心しておくべきことでもあります。さればこそ“簡単”などといわず、現状の問題点を剔出・分析し、その成果をベースとした策を出していきたいものです。

2月21日(月)
偏在するダルマさん

 日本一のダルマ市を前に(静岡新聞):この記事を読んで、はじめて日本三大ダルマ市なるものを知りました。実際に調べてみると、群馬・高崎の少林山達磨寺、東京・調布の深大寺が入り、残り1つは静岡・富士または福島・白河のいずれかのようです。この種の“三大ナントカ”はよくあるものなので、何が入り何が外れようとたいした意味はありませんが、やはり“ダルマ市”というものは東日本に偏在しているのだな、とあらためて思いました。

 私は西日本で育ち、その間ダルマというものを「選挙事務所に置かれる縁起物」といったイメージでとらえてはいたものの――達磨禅師の存在とか、ダルマ落としという玩具はもちろん知っていましたが――、日常に密着したものとして受け止めてはおらず、職場や家庭などにダルマが鎮座しているという図が、なかなか頭に浮かびません。そのせいか、ダルマ市にでかけたとき、じーっと白い視線の集中砲火を浴びるような居心地の悪さを感じたものですが、これはむしろ、日ごろの行いの悪さゆえかもしれません。

 ちなみに、ダルマの生産量は、高崎だけで全国の80%を占めているとのことです(高崎観光協会による)。

2月15日(火)
タッチ&ゴー

 反対訴え当選、合併は不変 浪岡町長選(東奥日報 2月13日):“平成の大合併”のうねりが大きく、著名観光地である馬籠を含む旧・長野県山口村が岐阜県中津川市に越県合併するニュースが盛んに取り上げられましたが、私はこちらの報により興味を抱きました。青森市との合併を推進した浪岡町長がリコールされた後の町長選挙に、合併反対派の候補者が当選を果たしたものの、合併そのものはすでに告示されており、今月4月1日の合併作業そのものは行われることになります。合併の事務手続が終了してから、今度は旧浪岡町を再分離することになるのでしょうか。「浪岡」は、起伏のある丘陵地帯を指す、なかなか味のある地名ではありますが、意外なところで波風が起こったものです。

 ……そういえば、最近の市町村合併に関するデータの更新を、すっかり怠っておりました。これから徐々に更新していきます。

2月13日(日)
閉山の報

 豊羽鉱山が閉山へ 資源枯渇で来年3月 国内唯一の鉛・亜鉛鉱山(北海道新聞 2月11日):日本という国土は非常に地形が複雑であるため、産出量こそ少ないものの何でも採れる「天然資源の博物館」のようなイメージがありましたが、石炭や銀鉱などの本格的な産出は完全に終了し、残るは石灰石のみに近い状態となっています。そんな中でも、液晶や発光ダイオードの原料の1つであるインジウムの埋蔵量・産出量の双方で世界一を誇っている豊羽鉱山(←ATOK15では変換できません…)も幕を降ろすと思うと、寂しく思えてきます。インジウムのようなレアメタルの採掘は、本体である銅鉱の採掘が可能か否かに左右される以上、いたしかたないのですが。もっとも、このニュースを目にした瞬間、大鉱山を作り上げた熱水鉱床と兄弟関係ともいえる定山渓温泉に行きたくなってしまった私は、やっぱり不謹慎というべきかもしれません。

 本日の更新で、新コンテンツ「日本観光図会(にほんかんこうずえ)」を設置しました。「駅の写真館」内の「周辺の見どころ」にてさまざまなスポットを紹介しておりますが、特定の駅からのアプローチのみを考慮すると紹介しにくい、面的に広がったエリアなどを取り上げていきたいと考えております。

2月2日(水)
足跡の整理

  いろいろと野暮用が立て込んでいたりしたため、しばらく更新を中断しておりました。実際にはちまちま都心に出る機会もあったため、ネタ自体はあったのですけれど。

 これからしばらく、「駅の写真館」に記載している「周辺の見どころ」の整理を進めていきたいと考えております。実際に足を運んだところを、自分なりのことばで説明することによって、そこで見たこと感じたことを記録していくというのが主眼ですが、レファレンスとしての機能をも併用させれば、かなり幅広い形で活用できるのではないか、と考えております。もっとも、実際に掲載する場所は、博物館や美術館、寺社仏閣、自然景観が中心となりそうで、一般的なアミューズメントスポットなどはかなり欠落するので――ほかならぬ、私自身が足を向けていないため――、どこまで“有用”となるか、定かではありませんが。



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