高千穂鉄道存続の危機 赤字経営に台風直撃 鉄橋流失、復旧長期化も(西日本新聞、9月9日)/:高千穂鉄道存続に厳しい見通し(宮崎日日新聞、9月9日):台風14号のもたらした災害の大きさは各所でかかれているとおりですが、日之影川沿いに延岡から高千穂へと向かう第3セクター、高千穂鉄道が壊滅的な被害を受けたというニュース。全線にわたって日之影バイパスが整備されており深刻な渋滞などがないうえ、高千穂や天岩戸への観光客は熊本方面からの観光バスが中心で観光輸送が期待できず、苦戦が続いていた同鉄道では、ご多分に漏れず存廃問題が浮上していました。川沿いを走るために渓谷美を楽しめる路線ですが、なにぶん平行する路線バスが充実しており、掘り起こしがなかなか難しかったのですが、そこへこの被害。
部分開通については「できたとしても高千穂―日之影(ママ)間ぐらい。残りの区間は部分開通も難しそうだ」
とのことですが、この高千穂―日之影温泉は戦後の1972年に開通した新しい区間でトンネルやコンクリート橋梁が多く、水害を受けにくかったためでしょう。実際、1982年の大水害の際に、この区間で取り残されたディーゼルカーがいったり来たりしていたことがありましたが、この区間のみで採算を取るのはどう考えても難しいといわざるをえません。国鉄時代には、延岡から高千穂、高森を経て豊肥本線へつながる九州横断路線と位置づけられていましたが、早晩廃止は免れないでしょう。
私は高千穂鉄道には片道1回だけ乗ったことがあります。そのときは延岡から高千穂まで行き、路線バスで天岩戸神社へ、そして高千穂峡へと移動し、高千穂に宿を取って高千穂神社の神楽を見、翌朝は峠越えの路線バスで阿蘇外輪の町、高森へ抜けました。景色がよいだけでなく、町から高千穂という神々しさ満ちる場所へ向かうことに対し、いろいろな感慨を抱いたものです。
それにしても、今年の雨の降り方は異常としか思えません。原因を追及したところでせんないことですが、人間の営為には限界があることをわきまえなければ、何もかもがリセットされる日がきてもおかしくないのではないか、などとふと思ったりもいたします(私はクリスチャンではありませんが)。