2006年2月の雑記帳


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2月27日(月)
路線名チェック

 この土曜日、仕事が終わってから神保町へ出て、平成17年度版の「鉄道要覧」を買ってきました。鉄道に興味のない方には何の意味もない資料ですが、国土交通省管掌の鉄道がすべて収録されているデータブックです。同省鉄道局が監修しており、公式資料として使えるため、不定期に購入していたのですが、最近はあまりチェックしていなかったため、久々に購入することにしました。

 パラパラ眺めただけでも、現在「駅の写真館」で利用している表記や分類が、公式のものとはかなり違っていることに気が付き、日曜日は数時間かけてこれらの修正に取り組む羽目に。こういった修正を加えたからといって、弊サイトを利用される方の便益向上にどの程度寄与するのか、はなはだ疑問はありますが、過ちを知りてたださずというのはよろしくありませんし、何より気持ちがよくありません。それでも、実際の事業主が公表している運転系統等と、認可されている経路とが大きく乖離している場合(名古屋市営地下鉄名城線など)の処理がなかなかたいへんで、どうしたものかと思量中です。

2月8日(水)
神戸空港見学記

 開港を2月16日に控えた神戸空港で、一般市民を対象としたターミナルビル見学会が開かれました。空港よりもひと足はやく開業したポートライナー(神戸新交通ポートアイランド線)ともども、見てきたしだいです。これから繁忙期に突入すること、どうせなら開港前に見てみたいという考えがあったことなどが理由です。そのために、週末を東京から神戸まで往復するだけで使うというのも、われながら物好きだとは思いますが。

 ポートライナーの三宮駅で、開業記念一日フリー乗車券を購入(600円也)。三宮から神戸空港までの運賃が320円ですから、単純に往復するだけでも元が取れます。改札前の臨時窓口では、けっこう買っている人を見受けましたが、いずれも空港見学客とおぼしき、軽装の人ばかり。途中の駅であちらこちら乗り降りしてみようという人はほとんどいないようで、実際、新規開業区間の中間2駅では、私以外の乗降客は皆無でした。

 空港見学は朝10時からとのことで、夜行高速バスで到着した身には間があります。このため、ポートアイランド内の各駅を乗り降りし、かつての循環部分をぐるりと一回りしてから、おもむろに新線区間に乗り込むことになりました。

 まず、先端医療センター前駅で下車。駅名にもなっている医療機関のほか、研究所や大学のインキュベーション施設などが集積しており、産学連携の核という位置づけになっているようです。市民広場からわずか一駅乗っただけで、こうも土の香りがなくなるものかと、駅を取り囲んでいるビルディングを見ると思ったものです。埋め立て地だからこそ、有機的な感覚を出そうとしていたこれまでの各駅とは、明らかに雰囲気が異なります。

 次のポートアイランド南駅は、まさしく“何もない駅”。駅の南側に温室が並んでいるものの、その周りは完全な更地ばかりで、殺風景な土ばかりが広がっています。高架線に沿って道路が走っているものの、それ以外は道路もろくに整備されていません。駅から降りても、さてどうしたらよいものか、途方に暮れてしまいます。こんな駅でも、数年も経てばガラリと風景は変わるのでしょうが。

 さて、やっとのことで、もう一度海を渡ると、右手に神戸市の町並み、そしてその左手には明石海峡大橋が見えてきます。さらに、管制塔などが目にはいるようになると、駅に吸い込まれるように到着していきます。

 ホームから降りると、ポートライナーの歴史や概要をパネルで展示している特設コーナーがありました。神戸ポートアイランド博覧会(通称、ポートピア81)から阪神・淡路大震災にいたるまで、短い間にさまざまな事態をくぐり抜けてきたことを、いまさらながらに実感しました。

 この展示を見てから、ターミナルビル見学の列に加わります。10時オープンながら、私が降り立ったのは10時5分。これでも、けっこう長い列ができていました。折しも、きわめて強い風を受けて、並んでいる人はみなコートの襟を立ててブルブル。私は、帽子にヘッドフォン、ダウンジャケットという恰好でしたが、それでも足から寒気が伝わってきます。

 そうこうするうちに、やっと中に入ると、チケットカウンターが中央部に配され、それを取り囲むように店舗が並んでいます。奥にある搭乗ゲートを抜けると、展望カウンターがあり、滑走路を見渡すことができます。さらに、上の階を経て屋上へ抜けると、こちらは360度の展望が望めます。実際には、もともと3階建ての設計だったところ、ポートライナーの駅舎のために神戸市街地側が望めないことが明らかになって急遽設計を変更するという、笑い話のような顛末を知っているだけに、急ごしらえという印象が否めません。今回は、自由参加制の見学であり、原則として自由に立ち止まることができず、むしろ行列管理のために強制的に立ち止まらされたため、この屋上がどのようなスペースとなるのかは、開港してみないとわかりません。少なくとも、芋洗い状態の人混みでは、景色がよくとも――実際、冬で空気が澄んでいたこともあってか、神戸の町並みはきれいでした――、風情あるものとしてみることはできませんから。

 再びチケットカウンターのあるメインロビーに降りると、やっと人心地つきます。ここであたりを見渡すと、あちこちで見かけるのが「神戸−羽田 10,000円」のポスター。さらに、スカイマークエアラインズの2月便では、席数限定ながら5,000円程度という、信じられないディスカウントをするとのこと。この金額では、いくら飛行機があまり好きではない私でも、往復に使いたくなります。もちろん、開業直後に固定客をつかんでおくための戦略なのでしょうが、10,000円は今後も継続するとのこと。こうなると、東海道新幹線も殿様商売を決め込むわけにはいかなくなるでしょう。競争による価格の弾力化がどこまで可能となるかはわかりませんが…。

 第三種空港、すなわちローカル空港という位置づけであるだけに、ずいぶんと小規模なつくりになっています。そのぶん、大きい荷物を抱えてあちらにうろうろこちらにうろうろといった事態に陥ることはなく、空港に着いた利用者にとっては使いやすいつくりになっているように見受けられます。

 もっとも、これだけの巨費を投じる必要があるものだったのかどうかという疑問は、やはり残ります。関西空港に比べて都心への距離が短く、伊丹空港と異なりターミナル駅へ乗り換えなしで移動可能というメリットはあるものの、神戸市民、あるいは神戸への訪問者以外の利用がそうそう見込めるとは思えません。また、建設費を償還する目処がたっていないのも、おきまりのパターンではありませんが、将来的な不安材料です。

 「作ってしまった以上仕方がない」ということばがまかり通ってしまうのが、土建国家ニッポンの政策決定者をつけあがらせる元凶なのかもしれません。しかし、実際に形あるものとなった以上は、それを有効に活用していきたいものです。

※なお、空港開港後の2月16日以降には、神戸市営地下鉄とポートライナーの全線がフリーの「神戸空港開港記念1day pass」が1,000円で販売されます。これを機に乗り降りしたい方は、こちらも選択肢としてどうぞ。



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