2006年4月の雑記帳


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4月3日(月)
廃線ラッシュ

 鹿島鉄道西鉄宮地岳線末端区間の廃止が公式に発表されました。また、愛知県と小牧市、桃花台線9月廃止発表(中日新聞、3月29日)という発表もあり、廃線ラッシュの様相を呈しています。

 すでに、全国紙でも取り上げられた北海道ちほく高原鉄道のほか、くりはら田園鉄道や神岡鉄道も廃止が決定しているほか、最大株主である沿線自治体市長が廃止を要請している三木鉄道など、廃止への動きは止まる気配がありません。

 個別運輸手法に対するコスト負担とのバランシングが行われないままでは、公共交通機関の運営方法に対するコンセンサスなど得られるはずもありません。それでも、これまで沿線自治体等によるサポートが行われてきたのは、少なくとも現在に比べると財政に余裕があった(悪くいえば経営リスクに対する認識が甘かった)こと、鉄道輸送に対する社会的期待がまだ高かったことが原因でしょう。もっとも、これまで経営困難となった鉄道を存続させる理由は“交通弱者の救済”あるいは“ラッシュ時の通勤通学輸送対応”、最近では“環境負荷の軽減”というものでしたが、前二者はバスによる柔軟なサービス提供、少子化や過疎化に伴うピーク時輸送量の減少などにより成立しなくなり、後一者も“空気輸送”同然では人キロあたりに必要なエネルギーコストは鉄道輸送が自動車輸送を上回るのは確実(二酸化炭素排出量については未確認)。事業主が負担する範囲について抜本的な変更が行われないかぎり、地方における鉄道輸送は割に合わないものにならざるを得ません。

 大都市近郊以外では、幹線ないし都市間連絡輸送、観光輸送等の中長距離列車が走る在来線においては、そのおまけ的な扱いでローカル輸送が行われるでしょうが(単線の場合は交換駅を維持する必要もありますし)、そうでない路線については、縮小の一途をたどりそうです。

 そのいっぽうで、南海貴志川線が、岡山電気軌道に委譲されて和歌山電鐵として再スタートしました。純然たる民間鉄道事業者が、経営不振となったまったくの別地域、別会社の路線を引き受けるケースは、ここ数十年ではほとんどなく(高度成長期以前であれば、大手私鉄の資本が地方中小鉄道を傘下におさめることが多々見られましたが)、新しい試みとして注目されます。かくいう私も、貴志川線には片道1回乗ったことがあるのみでしたが、これを機に乗り直してみたいと考えております。



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