2006年6月の雑記帳


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過去の「雑記帳」

6月30日(金)
大丈夫なのか、阪急神戸線

 阪急電鉄神戸線でこの秋に行われるダイヤ改正で、特急電車が夙川駅にも停車するようになるとのこと(ニュースリリース:PDFファイル)。11年前に岡本駅に特急が停車するという報を見たときには目を疑ったものですが、今回は近隣に建設中のJR夙川駅への対策というのがはっきりわかるだけに、驚きも何もありません。夙川も岡本も個人的になじみが深いだけに、コメントしたいことはいろいろあるのですが、駅個別の話題はさておきまして。

 阪神間の一住民で、大阪や神戸に電車で頻繁にでかけていた私には、阪急は「速い」という印象がありました(あくまでも感覚的なものです)。もちろん阪神も遅くはないのですが、駅が多すぎること、カーブが非常に多いことなどのため、走っているときに景色が流れるのを眺めるという点ではさておき、目的地へサッと着くというのは、阪急のほうだと思っていたのです。阪神間の停車駅が、十三(じゅうそう)と西宮北口の2つのみで、駅の実数も少ないため普通列車も遅足感がなかったという面もあります。

 しかし、これからは途中停車駅が4つ。実際の所要時間が短縮されたといっても、「特急」としてのステータスがどんどん下がっているような気がしてなりません。そんなステータスなど利用者にとって関係ないと言えばそのとおりですが、阪急神戸線じたいが、もともとステータス云々で支えられている部分の多い路線。守りに回ることで、ほかの鉄道路線にないものを失いつつあるような気がしてなりません。

6月24日(土)
北条鉄道をめぐって

 「再生に水さす」「残念」 北条鉄道から小野市撤退へ(神戸新聞-北播、6月22日)/北条鉄道 小野市が全面撤退を表明(朝日新聞-兵庫、6月22日):兵庫県の第3セクター鉄道、北条鉄道に関するニュース。“同期生”である三木鉄道は早晩廃止という流れになっていますが、北条鉄道も経営状況は芳しくなく、経営再建策が模索されている最中ですが、地元の自治体相互の思惑の違いが表面化しています。複数の自治体にまたがって運行されている鉄道である以上、自治体ごとの姿勢にズレが出てくるのはある程度当然ではありますが、howの議論ばかり重ねてwhatに手が付けられないという事態は異常です。北条鉄道の負債うんぬん以前に、企業経営を行ううえで末期的な状態になっているように思えてなりません。

 無人駅の“駅長”を公募するなど、地元への定着度を高める取り組みがいろいろと行われており、苦しいながらもいくばくかの期待を抱かせているだけに、なんとも困ったものです。とにかく、経営者なくして経営が成り立つはずもないわけですので、ゴタゴタの長期化だけは避けていただきたいと願うのみです。

6月19日(月)
宮地岳線存続運動を耳にして

 「宮地岳線を利用しよう」 新宮海岸散策イベント 25日 存続求める会(西日本新聞-福岡、6月19日):西鉄が廃止を打ち出している宮地岳線について。乗って残そう的な運動は古典的な手法ですが、ちょっと目を引いたのは福津、古賀両市の市議20人を含む約400人が参加というくだりです。

 廃止の発表があってから存続運動が本格化するのはよくある話とはいえますが、この種のニュースをみるにつけ、沿線自治体への打診などがなかったのかという疑問が出てきます。大手私鉄は大企業ですが、こと鉄道部門については地域密着型になるわけで、沿線の行政ないし住民は必然的にステークホルダーとなるはず。しかし、“住民”というのはあまりにも漠としている以上、この場合に窓口となるのは行政なのですが、自治体にとって、ほんとうに「何も知らない、わからないまま突然の通知」に呆然とする、というケースというのは、そう多いものなのでしょうか。うがった見方ですが、自治体の財政状況が苦しいという名目で、これまで取り合ってこなかったのではないか、という気がしてなりません。

 今回の運動に参加している議員20人というのは、決して少ない数ではありません。福津市のように合併から間がたっておらず、迅速な意志決定など望むべくもない体制であろうということは察しがつきますが、まずは存続のための選択肢をなるべく多く用意することが、まず求められていると考えます。それを行わないのであれば、議会が行政に対して異議を唱えるというのが、地方自治の本来のありかたではありますが、そこまできれい事を求めても仕方ないでしょう。

6月18日(日)
駅の間引き

 トップページに記載している更新内容欄で、6月16日の更新について「…石狩月形、…に写真を追加のうえ加筆修正」と表記しましたが、石狩月形については写真は従来のままで、本文内容に一部加筆したのみでした。訂正いたします。

 さて、旧聞に属する話題ではありますが、名鉄が河和線2駅の廃止を検討 椋岡と布土(中日新聞-愛知、6月10日):名鉄の閑散駅間引きの話題。名鉄は、2005年1月にも学校前、東笠松の2駅を廃止していますが、今回は駅を撤去して高速化を図るといったタイプのものではなく、駅の管理そのものにかかるコストを削減するという狙いがあるようです。現在、名鉄では無人駅に自動改札機を設置して遠隔管理を行う集中管理システムの導入を図っていますが、これに伴い駅を整理しようという判断でしょう。駅なくして利用者なしという正論はもっともですが、運行に必要なコストを低減して便数を維持するためにはやむを得ない措置ではありましょう。駅が廃止されることによる旅客の逸走が軽微であることが大前提ではありますが、鉄道でないと移動が難しい、あるいは不便であると思える環境を整えることが難しいのもわかりますし、閑散区間を抱える鉄道ではどこでも起こりうるニュースともいえます。

 もっとも、駅集中管理システムの導入は、コストの低減は実現できても、既存駅の荒廃などによるマイナス面も無視できず、イメージダウンにもつながるという面があります。私は、同様の集中管理システム導入後の山陽電気鉄道や神戸電鉄の各駅をまわってきましたが、無人化された駅の多くが薄汚れており、駅によっては一人で長居したくないところもありました。駅を駅としてのみ利用するのではなく、他の目的で活用する方法があれば、それでよいのですが、なかなか難しいのでしょうか。もっとも、山陽の場合、駅の周辺からしてシャッター街になっていたりするのですが。

6月12日(月)
第3セクター鉄道の明と暗

 智頭急行、3セク全国初の配当「来年も継続を」(日本海新聞、6月9日)/若桜鉄道赤字補てんせず 知事打ち切り明言(同、6月7日):鳥取県を本拠地とする旧国鉄関連第3セクター鉄道に関する話題。いわゆる“ローカル線”というくくりを設けてしまえばどちらも該当することになるのかもしれませんが、智頭急行は阪神地区や岡山、さらに山陽新幹線と鳥取を結ぶ幹線ルートとして、特急列車が多数運行される重要路線。いっぽうの若桜鉄道は、八東川沿いの集落を鳥取と結ぶローカル輸送に徹した路線。鉄道としての特性をいかせるのがいずれかは明らかで、本来は比較対照とするべきものではないのですが、近隣の鉄道会社でここまで明と暗がはっきりわかれることも珍しいといえます。

 智頭急行は、旧国鉄智頭線として建設されていましたが、国鉄末期における輸送需要予測が基準値以下だったために工事が中断されたところ、沿線各県による第3セクター鉄道が引き受けることになりました。智頭急行開業前は、山陽新幹線沿線と鳥取を結んでいたのは、津山線および因美線でしたが、津山線はキャパシティ、因美線は線形に問題があり、戸倉峠を越える国道29号線を使った路線バスのショートカットに対して苦戦を強いられていました。しかし、智頭急行が開業すると事態は一転し、阪神方面からの直通特急が走るのはもちろん、岡山方面からの列車も智頭急行を経由することになり、陰陽連絡幹線として脚光を浴びることになりました。好調な収支状況はこの都市間連絡輸送に支えられているものです。もっとも、第3セクター鉄道とした最高の収益をあげている北越急行などには配当への動きはなく(正確には、沿線自治体からそういった要求が表面化しておらず)、個性派知事を擁する鳥取県ならではの現象という面もあるでしょうし、そもそも配当可能となるほど経営が安定している3セク鉄道はごく限られているため、地方鉄道の経営姿勢に及ぼす影響はほとんどないものと思われます。

 いっぽうの若桜鉄道は、旧国鉄若桜線として運行されていたものの、やはり国鉄末期に第1次特定地方交通線(廃止対象路線)に指定されました。しかし、当初の廃止基準をわずかに下回る程度の輸送実績があったことから、地元の乗車運動によって廃止基準を一時突破し、国鉄との協議が中断した時期もありました。結局は、実質的に廃止基準がさらに広がったこともあり、第3セクターによる鉄道存続となりましたが、沿線にこれといった観光資源がなく地味な鉄道です。それでも、鳥取市というこの地域の中核都市が近いこともあり、一定の通勤通学需要に支えられてきましたが、少子化の進行、道路の整備、さらに核となる鳥取市そのものの停滞などの条件により、かなり苦戦していたようです。かくいう私も、1994年に一回乗りに行ったのみで、あとはまったくご無沙汰しています。現在走っている旧国鉄系第3セクター鉄道のうち「一度乗っただけ」という路線を調べてみると、三陸鉄道、阿武隈急行、わたらせ渓谷鐵道、真岡鐵道、いすみ鉄道、明知鉄道、若桜鉄道、錦川鉄道、松浦鉄道、南阿蘇鉄道…我ながらずいぶん多いものです。特に近年は、JRおよび純然たる私鉄を中心にまわっておりますが、これらについても、自治体の体力が落ちている以上、いつまで持つか定かではありません。今のうちに、見られるものを見ておきたいという気になったしだいです。

 なお、日本海新聞の前者の記事見出しでは、これまで第3セクターの会社で配当を出した例がないような印象を受けますが、これは「3セク鉄道全国初」と書くべきところです。株式会社大阪マーチャンダイズ・マートなど、配当を継続的に行っている第3セクターは他にもありますから。

6月11日(日)
独自ドメイン取得

 「TRAVEL STATION」は、独自ドメインを取得しました。travelstationのあとに「.tk」を付けるのみなので、アドレスの直接入力も比較的容易になったかと存じます。

 ドメイン変更に伴い、従来のトップページから新トップページへは移転告知とリンク設定のみを行いますが、フィッシング詐欺への対応などに対する無用な警戒を惹起させないため、自動移転の案内は行いません。また、トップページ以外についてはすべて新ドメインのみに移行し、旧ドメイン上のコンテンツは基本的に削除いたしますので、ご容赦ください。

 一個人が趣味で運営している以上、情報を長期にわたって提供し、任意のタイミングでアクセスできる状態を長期に保つためには、費用および労力が一定以下に抑えられることが必要です。このため、レンタルサーバを乗り換えるといったことも考えられると思いますが、ひとまずこれで長期的な運営の目処もたったと思います。いつまで続けられるものかはわかりませんが、1年や2年ではなく、まとまった期間にわたって「TRAVEL STATION」を運営してきたこと、および別のWebサイト等を管理してきた経験などから考えると、長期放置状態になることはあっても、そう遠くない将来にサイトを閉鎖するということはまずないと思います。

 なお、これにあわせてメールアドレスも新規に確保しましたが、旧アドレスも従来どおりご利用いただけます(旧アドレスの公開は差し控えさせていただきます)。

6月10日(土)
項目追加

 本日の更新から、「駅の写真館」各ページに「乗り場」という項目を追加しました。基本的には、ホームごとの番線表示と方向表示を示し、これに加えて特殊な形状をしているホームなどについては追記することにより、駅に対するイメージを掴みやすくすることをねらっています。もっとも、だいぶ前に乗り降りしたままで詳細を覚えていない駅のほうが多いですし、そもそも大規模ターミナルになると、どの番線からどのような列車が発着するか、明確にはわからないこともままありますけれど。

 メンテナンスの負担がさほど大きくないものについては、蓄積することで有用さを増すと思われる情報を、過剰にならない範囲で追加していきたいと考えております。



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