2007年10月の雑記帳


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過去の「雑記帳」

10月29日(月)
都市部の公共交通機関に求められるもの

 人・環境に優しい交通機関は? 尼崎でシンポ(神戸新聞、10月21日):少し古い記事であるうえ、主催者さえ記されていないというシロモノですので、詳細はプレスリリース[PDF]をご覧いただくとして。町づくりと公共交通機関のありかたの関係については議論がさんざん重ねられていますが、都市部のそれにおいては、利便性もさることながら、安心感がまず求められるものと思われます。このシンポジウムが開かれた尼崎ではJR福知山線脱線事故がいまだに生々しい傷跡を残していますし、鉄道にかぎらずさまざまな事故がいろいろな形で発生しています。

 一方で、鉄道や路線バスの車内における治安の現状を鑑みるに、果たして“安心して”乗れるものになっているといえるかどうか。航空機でさえ国内便においてはチェックがかなり甘いと思えますし、鉄道にいたっては乗車の前後でノーチェックであるうえ、人員削減のために車内巡回も少なくなっており、かなり心許ない状態に思えます。2006年8月に発生した、特急「雷鳥」車内強姦事件などの凶悪犯罪への対応が求められるのはもちろんですが、それ以前の、マスメディアが取り上げるほどでもない騒動によって電車がストップすることは、少なくとも首都圏ではちっとも珍しいものではなくなってしまいました(実体験に基づく)。

 この種の話題となると、日本人のモラルの低下云々とか規範意識がどうのという話になりそうですが、特に鉄道に限定した場合、現場の鉄道員や鉄道警察隊員の対応が、従来の「安全なニッポンの乗り物」をベースとしつつ、ダイヤの維持を第一とする意識が根底に染みついていることが重要なのではないでしょうか。運行に事故を伴わない、いわば消極的な安全対策が事業者に求められるのは当然ですが、利用者が安心して安全に移動できる、いわば積極的な安全対策が必要だという意識が、より重要であると考えます。公共交通機関は「便利ではあるけど怖くもある」となってしまったら、おしまいでしょう。いや、すでにそうなりつつあるような気がしてなりません。

 しかし、こういったシンポジウムでは、インフラの整備と財源にばかりスポットが当たりがちですね。当然といえば当然ではありますけれど。

10月15日(月)
黒部市内各駅へ

 富山地鉄本線のうち平野部が一段落、引き続き黒部市内の黒部川沿い各駅をアップロードしてまいります。地鉄本線は、おおむね電鉄富山-上市の富山市近郊区間、上市-東三日市のJR並行主要都市連絡区間、東三日市-宇奈月温泉の末端区間に分かれます。最近の資料が手元にないためなんともいえませんが、1994年度の時点では、電鉄富山口の乗客数を100とした場合、上市-経田(魚津市北郊の駅)で約40、経田-東三日市で約30、その先では20を大きく割り込んでいます(青木亮「富山地方鉄道の事業とグループ展開」『鉄道ピクトリアル』1997年9月号による)。JRと並行している区間と比べても半分を割るほどの利用状況というのは、少なくとも地域輸送を担う交通機関としては末期症状でしょう。

 宇奈月温泉は北陸でも有数の存在感を誇る温泉街ですし、宇奈月から南下する黒部峡谷鉄道のトロッコ列車も人気が高くオンシーズンにはなかなか予約が取れないのですが、これらを訪れる観光客の大多数は宇奈月駅前のバスターミナルに横付けされる観光バスでアクセスするため、鉄道の利用にはなかなか結びついていないようです。それでも、さほど多くないとはいえ、観光客の大多数は地元利用者とは異なり長区間の利用となるため、運賃・料金収入単価が高く、これがこの区間を支えているようです(電鉄富山から宇奈月温泉まで特急列車自由席に乗ると、1,990円かかります)。

 ちなみに、私が富山地鉄各駅をまわった際に使った乗車券は、乗り降り自由タイプのフリー乗車券でしたが、この「電車全線2日フリー乗車券」(2日有効、富山地鉄の鉄道と軌道が乗り降り自由)は、なんと4,400円。私鉄のフリー乗車券としてはかなり高額の部類に入ります。長野電鉄に乗ったときに使った「信州北回廊パス」(2日有効、JR東日本の長野市内、長野電鉄全線、しなの鉄道上田以西、長野-松代の路線バスが乗り降り自由)の2,500円、高松琴平電気鉄道に乗るときに使った「ことでん・JRくるり~んきっぷ」(当日限り、琴電全線、JRの高松-琴平および高松-志度が乗り降り自由)の1,700円に比べると、ずいぶんと高運賃です。黒部市内を500円で乗れるなど、ときおりとんでもないディスカウント商品を出すこともあるのですが、他の交通機関とも提携して気軽に使える商品がほしいと思うのですが…。主な観光地が、終着である宇奈月温泉と立山にしかない以上、望み薄でしょうか。

10月10日(水)
つづいて富山地鉄

 長野電鉄各駅のアップロードが終了したので、引き続き富山地方鉄道の鉄道線各駅のアップロードに着手しました。富山地鉄は長野電鉄に比べて無人駅の比率が高いことに加えて、駅舎も長電に比べて実に多彩なので、駅巡り、特に駅舎観察が好きな人にとってはたまらない鉄道といえます。このため、掲載する写真もかなり多めになりそうです。

 現在、北陸新幹線の工事が行われており、富山地方鉄道本線の長屋と舌山の間に新駅「新黒部駅」が設置される予定です。この際に駅設備などが一気に変わる可能性もありますが、そもそもそういった設備の更新が可能な状態なのかどうか。積極的な増便などが試みられているものの、施設の老朽化は長電の比ではないだけに、単なる観察者の視点で「たまらない」といえる現状は、利用者にとって決して望ましいものではないでしょう。

 駅舎の老朽化が深刻なものが多く、あと何年残るかわからないようなものばかりという印象もまた受けました。舗装が荒れてデコボコになっていたり、広告枠が赤く錆びて無惨な姿を晒していたりするのが、今の地鉄の状態でもありますが、こんな状態は長く続くべきものではありません。さて、近い将来、どうなることやら。

10月7日(日)
「日本観光図会」拡充開始

 一大観光地である松代の玄関駅である松代駅を「駅の写真館」に追加したことを受けて、松代を「日本観光図会」に入れることとし、あわせてこのコーナーをサーバトラブル以降はじめて復活させました。このコーナーにこれまで掲載していたのは上野公園のみという貧弱さで、ようやく2つ目という状態ですが、これから少しずつ増やしていければいいかな、と考えています。もっとも、公共交通機関で気軽に行ける観光地で、私がそこにあるそれなりの数のスポットを訪問済みで、なおかつ私がそこそこの枚数の写真を撮っているところというのはかなり限られるので、ペースは今後もゆっくりになるとは思いますが。

 「駅の写真館」のほうは、かなりの量の写真が溜まっているので、こちらは随時アップロードしていきます。今のところは項目立ての変更は特に考えていませんが、書きたいことがたくさんある駅と、さほどない駅があり、文字数に比べて後者のほうがはるかに時間がかかったりしています。

10月3日(水)
郵便局欄の掲載を当面凍結

 先月3日の本欄でも書いたとおり、郵政事業が民営化されました。もっとも、旅行の際に郵便局をまわるという趣味の持ち主にとってみれば、郵政事業の分割のほうが大きな問題といえるわけで、これに対してどのように対処すればよいのか、結局判断ができない状態になってしまいました。

 さて私自身はというと、平日に休暇を取る機会がなかなかなく、あってもそうそう郵便局巡りに時間を使えないという状態が長く続いているため、こちら方面での新しい情報を得ることもなかなかないのが実態となっています。

 こういった事情を考慮し、実際に足を運んで得た情報をもとにしている「駅の写真館」のページから、駅最寄りの郵便局については掲載を凍結することといたします。既存のページについては特に削除することはしませんが、簡易郵便局を中心として郵便局の改廃なども多いものと推測され、そちらの追跡に時間と労力をさくだけの余裕がないと判断いたしました。この欄を活用していただいた方には申し訳ありませんが、事情ご賢察いただければ幸いです。

10月1日(月)
長野電鉄から更新開始

 7月から9月にかけて、関東から四国にかけて数多くの鉄道路線に乗り降りしてきました。Webのほうでもページデザイン確認作業が一段落したこともあり、乗降した駅の写真や印象などを随時まとめていくことにしたのですが、今後の更新では、ひとまず私鉄の駅を優先的に更新していこうと思います。その理由は、駅にかぎらず鉄道の情報についてはJR関係のほうがWebでは充実していること、経営上厳しい状態に置かれている会社や路線が少なくないことによります。当面、私鉄の駅についての更新を優先させ、合間にJRの各駅についても手を付ける、という順位にしたいと考えております。

 まずは、長野電鉄の各駅から順次更新することとしました。雰囲気のよい駅が多い鉄道会社なのですが、筆者が駅で感じられた空気を、どれくらいまでお伝えすることができるか。公私ともに無理のない範囲でという注釈はつきますが、客観的な情報のみならず、その場で感じた印象が伝わるようなものを公開していきたいと思います。



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