2009年7月の雑記帳


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7月7日(火)
折尾駅移築

JR折尾駅:移築へ 未来21協議会、保全の基本方針まとめる/福岡(毎日新聞・北九州、6月27日)、JR折尾駅 移築複製を正式発表 北九州市と地元まちづくり組織 場所、活用法2案を提示(西日本新聞・福岡、7月2日):すでに旧聞に属する話ではありますが、折尾駅が解体のうえ保存という方向でまとまりつつあるという話題。折尾駅駅舎そのものは改修されているとはいえ、折尾の街のランドマーク足りうるだけの存在であっただけに、移築を前提とした形での保存ということになるようですが、高架化される新しい折尾駅のファサードに、あのクラシックな駅舎を活用するという案に一票を入れたいと思います。どうせ新しくするのなら古いものは一掃する、という見かたもあるでしょうが、あの駅があってこその折尾、というイメージを残してほしいものです。もっとも複製は現駅舎の象徴的な部材のみを再利用(西日本新聞)とあることから、上熊本方式になるという可能性もあり、移築と呼べるものになるかどうかは定かではありません。

しかし、駅舎そのものよりも、日本最初の立体交差駅でもあり、当時の苦労がしのばれる通路、そして駅前を流れる運河との組み合わせがほどなく消えることは間違いなく、これは単なる景観の問題だけでなく、日本土木史上の貴重な遺産の扱いにもかかわる問題だと思うのですが。日本における近代建築物の扱いが冷淡であるのは多言を要しないものですが、土木分野となるとその色合いはさらに濃くなるように思えてなりません。古い構造物は、観光資源としてしか活用方法がないがごときコメントを多く見るのですが、祖先がつくった偉大なプロダクトを軽視することは、民族の歴史を卑小化するものと考えるような見かたは、少数派なのかもしれません。

なお、同じ筑豊本線の直方駅は、解体の方向で本決まりのようです。



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