2010年5月の雑記帳


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5月26日(水)
バス共通カード終了

首都圏で使われている「バス共通カード」が終了することとなり、大半の事業者で3月販売終了、7月末かぎりで利用終了となっています(川崎市交通局のみ少し後送り)。このバス共通カードはプリペイド方式の磁気カードで、売価5,000円のカードで5,850円利用可能、有効期限の制限はなく、また残額不足が生じた場合も新しいカードを継ぎ足せばそのまま利用できるとあって、利用者にとってはなかなか使いやすいものでした。定期券を買うほどではないが通勤通学で毎日バスを利用しているという人から、数ヶ月に1~2往復する人まで、幅広い層が購入していたものと思います。それが終了となったのは、交通事業者のプラットフォームを非接触型ICカードである「PASMO」に統一させることで、保守管理費用の抑制をはかったためでしょう。これに変わって、PASMOの「バス特」サービスが拡充されましたが、これの使い勝手が悪いうえ、バス共通カードと同等のベネフィットを得るのは不可能(詳細は計算してみてください)ということもあって、計算が気にならず数字が気になる私のような人間にはすこぶるおもしろくないのですが、それはそれとして。

現在、手もとに大量にある各社のカードをどうしようか考え中です。もともと、昨年夏に各社の「免許維持路線」と呼ばれる、運行本数が特に少ない路線に積極的に乗ろうと考え、どうせならと加盟各社のカードを買ったあげく、今回の措置。問題点は2つあって、(1)払い戻しができるのは各事業者窓口のみ、(2)払い戻しの際にはカードは返却されない、ということ。鉄道の磁気カードだった「パスネット」の改札機利用が終了した際には、払い戻しは加盟事業者であればどこでも可能でしたし(PASMOへの充当も可でした)、また払い戻しの際に希望すればカードを返却してもらうことができました。しかし、今回はそういった融通の利く措置は何もなさそうです。

実質的な残り利用期間は2ヶ月、そのあいだにどれだけ使うことになるか。週末は、一日乗車券の類を出していない会社のバス三昧ということになりそうです。

5月19日(水)
駅の本を手にとって

弊サイトは、ごらんのとおり「駅の写真館」のみを更新する状況が長いこと続いており、したがって「駅のサイト」と見られるのもごく当然のことでしょう。しかしかくいう私は、特に駅のみをめぐって旅行をしているわけではなく、ただ鉄道を利用した移動の合間合間に見える、駅という“装置”を眺めるのが楽しいというまでのことです。そのため、昨今いろいろと増えてきた全国の駅を紹介する書籍なども、書店で手に取ることはあっても、購入することはあまりありませんでした。

そんな私が久々に購入したのが、原口隆行監修『見直したい日本の「美」 日本の駅100選』主婦の友社、2010年。日本全国の駅のなかから、見て絵になる駅を100集め、エッセイのようなコメントを掲載しているものです。テキストはともかく、コンパクトサイズながらいい紙を使っていることもあって、写真が非常にきれいなのが特徴です。駅舎の写真ひとつとっても望ましい構図を確保するのはなかなか難しいのですが、その面でもよい手本になりそうです。もっとも、人の出入りが非常に少ない駅が多く、地方の駅でこの状態になるのは列車の到着までまだまだ間があるときであり、列車で移動するにはこういう写真を撮るのは難しい気もします。なお、実際には「絵になる駅舎(がある駅)」にスポットが当たっており、古い駅舎が残っているのみが取り上げられています。

ただし「日本の駅」と銘打ちながら、掲載対象をJRの駅に限定しているのは、残念を通り越して不可解なところ。日本に残る古く美しい駅を100ピックアップするなら、別所温泉(上田電鉄)、永平寺口(えちぜん鉄道)、鳥居本(近江鉄道)、浜寺公園(南海)が当然入ってしかるべきでしょうし、上総鶴舞(小湊鉄道)、長瀞(秩父鉄道)、片瀬江ノ島(小田急)、新村(松本電気鉄道)、五百石(富山地方鉄道)、宇治山田(近鉄)、上野市(伊賀鉄道)、橿原神宮前(近鉄)、出雲大社前(一畑電車)、滝宮(高松琴平電気鉄道)、油須原(平成筑豊鉄道)、南島原(島原鉄道)といったところも候補にしたいところで、こうすればもっと厚みも増したでしょうし、JRだけに限定する必要はまったくなかったでしょう。取材能力の問題とも思えず、制作時間から考えてJRのみとしたのかもしれませんが、写真が美麗なだけにかえって残念なところではあります。

なお、テキスト内にはいささか疑問の残る記述も多いのですが、特にマズいのが、こうして、掛川駅には新旧二つの駅舎が同居することになった。新幹線の駅で、木造の駅舎を持つ駅はこの駅だけしかないということで、その意味でも大切に守りたい駅である(同書113頁)というくだり。この「100選」には、熱海駅や三島駅も掲載しているにもかかわらず、です。このように、ほかのページの記述との整合性がとれていないのではと思えるところが散見されましたが、複数人でチェックをしているはずなのに、何とも残念なところではあります。



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