博物館や美術館などが盛りだくさんの芸術の杜

上野公園
うえのこうえん
Uenokoen

概要

 上野公園は、小高い丘の上に、博物館や美術館、動物園などが木々に囲まれて並んでいる一角で、「上野の山」あるいは「上野の森」とも呼ばれます。正式名称は「上野恩賜公園」で、東京都が管理しています。

 もともと、この地は徳川将軍家の菩提寺である寛永寺の境内でした。寛永寺は天海僧正によって開山し、広大な敷地を所有していましたが、1868年の上野戦争の際に、主要な堂宇の大半を消失しました。現在も、輪王寺に旧本坊表門、西郷銅像付近に清水観音堂、上野動物園内に五重塔が残っています。敷地は1870年代初頭に、明治政府によって公園に指定され、1890年には帝室御領地となりました。1924年に東京市に払い下げられた際に、現在の名称となっています。

 地形的には武蔵野台地の最東端にあたり、駒込方面から延びてきた台地の終端部分となっています。この上野公園と本郷台地の間の低地となっている部分にできているのが不忍池で、特に冬季には多くのカモなどが見られます。

 古典落語「長屋の花見」に見られるように、古くから桜の名所として知られています。これは、徳川3代将軍家光が、大和吉野のソメイヨシノを大量に移植させた結果とされています。

 

ポイント

東京国立博物館

東京国立博物館本館

 独立行政法人国立博物館が運営する、美術・考古遺物を収集・展示している博物館です。上野公園の中ではやや北側に位置しています。

 正面の本館、東側の東洋館、西側の表慶館、北西の平成館、西奥の法隆寺宝物館などから成ります。本館ではさまざまなコレクションをテーマごとに展示、東洋館では東洋の美術資料を展示しています。平成館は企画展示の会場となるほか、1階には考古資料の展示が行われています。渡辺仁設計の東西折衷風建築の本館、片山東熊設計のドーム屋根をいただく表慶館は、重要文化財に指定されています。なお、平成館竣工後は、表慶館は展示用にはあまり使われていません。

表慶館 平成館1階の考古展示

 日本最初の博物館であった文部省博物館の後進にあたりますが、管轄は内務省や農工務省などを経て、宮内省に移ります。1882年にコンドルの手によって本館が完成しました(のちに震災で倒壊)。その後、京都および奈良とともに帝室博物館(戦後は国立博物館)となり、現在にいたっています。

黒門 旧博物館動物園駅舎

 博物館の南西側には、旧因州池田屋敷表門である黒門があり(重要文化財)、土日にはこの門から出ることができます。前田家屋敷の御守殿門(現・東京大学赤門)と並び、現存する大名屋敷の表門として貴重な存在です。

 また南西角には、かつて京成電鉄の博物館動物園駅が設けられていましたが、4両対応車両以外停車できないなどの制約が大きく、1997年3月31日かぎりで休止されています。ルネサンス様式の意匠を凝らした駅舎は健在で、「博物館動物園駅跡」の表示が見られます(ただし届出上は廃止ではなく休止)。

(2005年2月13日)

国立科学博物館

国立科学博物館旧館

 独立行政法人国立科学博物館が運営する、自然科学全般に関する調査研究および展示などを行う博物館で、「かはく」と称されます。

 国立西洋美術館のすぐ隣に位置しており、玄関に設置されている蒸気機関車が目印です。1998年から、新館にて常設展示が行われるようになり、展示内容がいっそう充実しました。

科博新館内展示

 自然科学全般に関する展示がなされていますが、生態系に関する展示開設が特に充実しており、さまざまな動植物や古生物に関する大量の模型が圧巻。また物理に関するさまざまな実験を簡単に行えるようになっており、展示施設というよりは科学参加への実践施設といった趣があります。いっぽう、化学・工学関連の解説スペースが乏しい印象が拭えませんでしたが、やはり実学では得られないジャンルに力を入れていると見るのが妥当なのかもしれません。

(2005年2月13日)

国立西洋美術館

国立西洋美術館

 独立行政法人国立美術館が運営する、西洋美術品の収集・展示を行っている美術館です。本館は、フランスの建築家ル・コルビュジェの手によるものです。

 松方幸次郎が収集した美術品、通称「松方コレクション」がベースになっています。同コレクションはフランスで保管されていたものの、戦時中に敵方資産としてフランスに没収されたものが、戦後の1959年に日本に贈られたことを契機として作られたものです。

 中世末から20世紀までの各種西洋美術品を、フランスの絵画を中心として展示しています。常設展の最初のスペースにロダンの彫刻がずらりと並ぶあたり、なかなかの迫力がありますが、これに宗教画が続く格好となっており、どことなく重い雰囲気があります。

館外展示 館内展示

 館外にも彫刻のミニチュアが展示されており、天気のいい日には、混雑する上野公園のなかで静かに休むことが可能です。

(2005年2月13日)

東京都美術館

東京都美術館

 動物園の東側に位置する、東京都が運営する美術館です(外郭団体に運営委託)。常設展示はありませんが、不定期の収蔵作品展や企画展が開かれるほか、日展や二科展、院展などの公募展会場に利用されていることで有名です。

 無料で利用できる美術図書室は、現代美術に関する資料が豊富です。

(2005年2月13日)

恩賜上野動物園

恩賜上野動物園

 東京都が運営する動物園です。動物園の前には屋台風の飲食店が並び、修学旅行生が多く集まっています。

 戦時中は多くの動物が射殺・毒殺され、特にゾウの悲劇は有名です。戦後は、中華人民共和国から贈られたジャイアントパンダの飼育で有名です。

 東園と西園に大きく分かれており、両者の間は「いそっぷ橋」なる跨線橋で連絡しているほか、懸垂式モノレールもあり、東園・西園両駅を結んでいます。なお、東園は実際には西園の北北東方向に位置しており、実際には、上野駅方面の表門と、根津駅方面の池之端門のそれぞれの入り口に両園が対応しているとみるのが妥当でしょう。

東園(1) 東園(2)

 丘陵上にある東園には、ジャイアントパンダやトラ・ライオン、ゴリラ、オウサマペンギン、ニホンザル、ゾウなどのメジャーな動物が多く、坂を利用した散策コースが設けられています。表門近くには旧寛永寺五重塔(重要文化財)があり、ツルを筆頭とした日本の鳥獣が見られます。

西園(1) 西園(2)

 不忍池北半分を取り巻く格好になっている西園は、低地に位置しています。キリンやカバなどのアフリカの動物が多いほか、両生爬虫類館、小獣館などがあり、毛色の変わった動物を数多く見ることができます。また「こども動物園」があり、さまざまな企画が行われています。不忍池には数多くの鳥類が見られ、のんびりと休憩することが可能です。

(2005年2月13日)

上野の森美術館

 フジサンケイグループが出資している、財団法人日本美術協会が運営する博物館です。日本芸術院の南側にあり、上野公園の南に位置しています。

 常設展示はなく、「上野の森美術館大賞展」などの定期的な企画展示を行うほか、海外の現代美術に関する企画展示が盛んなものの、時々スケールの大きい企画が行われる以外にこれといった特徴がなく、やや存在感が稀薄な美術館という印象があります。美術関係の大学生の卒業制作展なども行っています。

(2005年2月13日)

東京藝術大学 大学美術館

東京藝術大学 大学美術館

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旧東京音楽学校奏楽堂

旧東京音楽学校奏楽堂

 

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下町風俗資料館

下町風俗資料館

下町風俗資料館1階内部

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東照宮

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西郷隆盛銅像

西郷隆盛銅像

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不忍池

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アクセス

 JR、京成電鉄または地下鉄でのアクセスがメインとなります。

 JR上野駅の公園口が玄関口になります。公園口出口は上野公園の南東部に面しています。改札正面の東京文化会館を回り込むようにしてその脇を直進すると、右手に国立西洋美術館があり、その右奥が国立科学博物館、さらにその先が東京国立博物館です。正面を進むと上野動物園の表門で、東京都美術館や奏楽堂はその右手にあります。表門から左手には東照宮があります。なお、上野の森美術館や西郷像に行くには、公園口を左折して南西側へ進みます。一方、京成上野駅は上野公園南端にあり、駅を出て西郷像がすぐ、上野の森美術館も至近です。また、地下鉄銀座線上野駅、同日比谷線上野駅はいずれもJR上野駅の南東側にあるため、JR上野駅の南側を通って京成上野駅脇に出るのが早いでしょう。

 このほか、東京国立博物館にはJR鶯谷駅から南、上野動物園池之端門には地下鉄千代田線根津駅から南、東京藝術大学には同駅から東、下町風俗資料館にはJR御徒町駅地下鉄銀座線上野広小路駅・同大江戸線上野御徒町駅から北へ向かうのが便利。また不忍池に行くには、地下鉄千代田線湯島駅が最も近いなど、目的地に応じて乗り降りする駅を使い分ける必要があります。

 

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