ホームは緩やかなカーブを描いて
石見都賀駅の先で、三江線はトンネルを出たり入ったりを繰り返すようにしながら、再び江の川の左岸に出ます。やや長めのトンネルを出るところに設けられているのが、宇都井駅です。片面ホーム1面1線のみの無人駅で、ホームは緩やかなカーブを描いています。
石見都賀駅の先で、三江線はトンネルを出たり入ったりを繰り返すようにしながら、再び江の川の左岸に出ます。やや長めのトンネルを出るところに設けられているのが、宇都井駅です。片面ホーム1面1線のみの無人駅で、ホームは緩やかなカーブを描いています。
高架駅で、ホームは地面から30m以上の高さに設けられています。ホームから反対側への眺めはよく、赤い石州瓦をいただく民家が見えます。一方、ホーム側には非常に高いフェンスが設けられています。転落防止用の措置でしょう。
宇都井駅がこのような高架駅になったのは、駅の前後が山間部になっており、トンネルでショートカットする構造になっていたためです。実際、ホームの端に立つと、すぐ目の前にトンネルが口を開けています。
ホームに面する形で、コンクリート造の待合室が設けられています。高い位置にあって風を防ぐ目的もあるのでしょう、しっかりと扉が閉まるようになっています。
待合室の内部はコンパクトで、コンクリートの壁に木のベンチが据え付けで置かれているなど、1970年代とは思えない設備です。自動券売機などはなく、時刻表と運賃表が置かれているほかは、事実上ポスター掲示のみとなっています。
さて、ホームから下に降りるには、コンクリートの壁の中に設けられた階段を降りていく必要があります。手すりはありますが、もちろんエレベータなどといった気の利いた設備はありません。バリアフリーなどという概念は、この駅とは無縁であります。
この階段は実に116段もあり、ところどころ「あと×段」と書かれた掲示が見られます。下から上っていくのはなかなか大変と思われますし、下りるほうも荷物を抱えた高齢者などには非常に厳しいものがあるでしょう。前述のとおり無人駅なので、人の気配もありません。
階段を降りきってあらためて眺めると、高度経済成長期に各地に建てられた集合団地のうち、階段部分のみが切り取られてぽつんと置かれているような、異様な印象を受けます。これが三江線の路盤を支える高架橋の柱と並んでおり、異様さがさらに増します。
出入口の脇には、簡素なトイレがあります。
駅周辺は決して無人地帯というわけではなく、それなりに民家が建ってはいます。三江線の運転本数および運行方向を無視しても、それなりの需要が期待できると判断して駅を設置したのでしょう。しかし、高齢化が進んでいる過疎地の駅としては、公共交通機関の拠点とするには構造的にとても無理な話です。ビジュアル的なインパクトがあるため、観光客受けはするでしょうが、それとて遠くから見てこそ栄えるような設備であり、駅としての機能からみれば、とうてい利用に値する状態にはなっていないのが実情でしょう。
なお、私がワンマン列車から降りようとしたら、運転士から「本当に降りますか?」と念を押されました。また、ホームには人が待機していましたが、その人は列車には乗らずに見送り、駅の写真を撮ってから、駅前に置いていたバイクで去って行きました。この駅の“利用者”は、そういった層なのかもしれません。なお、駅周辺には商店やコンビニの類は見当たりませんでした。
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