畑と住宅が混在する中にポツンと
札内を出ると、根室本線は南側を並んで通る道路とともに南南東に進みます。畑と住宅が混在した中に、ポツンと出現するのが稲士別駅です。
国鉄時代は仮乗降場でしたが、大半の仮乗降場を網羅していた『道内時刻表』(弘済出版社=当時)にも記載がないため“幻の駅”などと呼ばれていたこともあります。
このページは、駅廃止前の情報をもとに記載しています。
札内を出ると、根室本線は南側を並んで通る道路とともに南南東に進みます。畑と住宅が混在した中に、ポツンと出現するのが稲士別駅です。
国鉄時代は仮乗降場でしたが、大半の仮乗降場を網羅していた『道内時刻表』(弘済出版社=当時)にも記載がないため“幻の駅”などと呼ばれていたこともあります。
ごく簡素な板張りのホーム、鉄パイプを大雑把に組み合わせた柵、木の板で設けられた出入口のスロープから成ります。ホームの板には隙間が多く見られ、歩くとミシミシと音を立てるありさまで、踏み抜かないかと心配になりました。
目の前に、コンクリート枕木が敷設された高規格の線路が通っており、まことにアンバランスな光景になっています。
ホーム下側の草むした中に、ひっそりと古びた小さな待合室があり、私が訪れたときには夕方だったせいか、中には裸電球が点灯していました。裸電球を遠隔操作しているはずもなく、この駅のために係員が巡回しているのでしょうか。
この待合室も相当に老朽化しており、壁に寄りかかると崩れそうに見えます。この待合室の裏手には、工事現場などで利用される移動可能な便所が設置されていましたが、怖くて中身は確認できませんでした。
札内から幕別まではきれいに整備された道路が根室本線と完全に平行していますが、この道路の通行量はけっこう多く、付近に工場団地があるということもあり、トラックを中心として車の出入りが激しくなっていました。またホームからは民家が見え、生活感もあるのですが、見放された存在になっているようです。その最大の理由は、停車する列車の少なさでしょう。2016年1月現在、稲士別駅に停車する便は、1日に下り5本、上り3本のみで、このため近隣駅の時刻表にはわざわざ「稲士別駅停車」と注が付されたりしています。
確認中。
1948年7月に、稲士別線路班が設置されたことが始まりです。仮乗降場を経て、国鉄の分割民営化に際して正規の駅に昇格しました。
確認中。