最後は1日1往復のみが停車

楓 【廃止】

かえで Kaede
  • 石勝線
  • 《南千歳方面》 新夕張   占冠 《新得方面》
  • ※隣接駅名は駅廃止直前のものです。
楓駅
▲楓駅待合室《2003年10月25日撮影》

このページは、駅廃止前の情報をもとに記載しています。

停車するのは全便が折り返し列車

楓駅3番ホーム
【写真1】楓駅3番ホーム。《2003年10月25日撮影》

新夕張を発車する石勝線本線系統下り普通列車は、すべて楓止まりとなっていました。これは、もともと石勝線開業前に紅葉山(現、新夕張)-登川間に夕張線の支線があり、これを廃止する一方で代替措置として楓駅が設けられたこと、楓以東は占冠駅周辺など一部を除いて無人地帯が続き普通列車を運行する必要がないと判断されたことによります。位置的には、登川支線の(旧)楓、登川両駅のほぼ中間に位置します。

開業した楓駅には、特急および急行列車は停車せず、普通列車のみが停車しました。このため、停車する列車は全便が新夕張方への折り返し列車ということになります。このため、時刻表好きな人にとっては、楓以東が優等列車のみ運行という特異な区間であることもあわせて、興味を引く存在になっていました。

立派な待合室がありました

楓駅待合室
【写真2】楓駅待合室。《2003年10月25日撮影》

普通列車用のホームはごくシンプルなもので、線路も行き止まり式です。

石勝線開業当初からの無人駅になっています。それでも、利用客はそれなりにあると見込まれていたのか、新しい駅にしては珍しく立派な待合室があり、多くのベンチがずらりと並んでいます。待合室内に灰皿があるのが、今となっては時代を感じさせます。

末期は1日1往復日曜運休に

楓駅時刻表
【写真3】楓駅時刻表。《2003年10月25日撮影》

開業後の1983年には、新夕張と楓とを結ぶ列車は6往復設定されていました。これは、それまで運行されていた登川支線の運転本数が6往復だったためでしょう。

しかし開業後、旅客需要が大幅に落ち込んだようで、最終的には日曜運休・1日1往復(それも朝のみの運行)というありさまとなり、「1日1回しか乗り降りできない駅」として有名になってしまいました。廃止直前の時刻表は【写真3】のとおりで、新夕張から1両のキハ40がさっさと往復するのみなので、所用で列車を使おうにも、列車に乗ったら列車では戻ってこられないというのが実情でした。何のために1往復だけ残していたのかも、今となっては謎ではあります。

設備はしっかりと整備されていました

楓駅3番ホームに停車中のキハ40
【写真4】楓駅3番ホームに停車中のキハ40。《2003年10月25日撮影》

私が楓駅を訪れたときには、1両のキハ40に8人ほどの乗客を乗せて駅に到着しましたが、地元の利用者は誰もいませんでした。このうち6人は8分後に折り返す始発列車兼最終列車で新夕張へそのまま戻り、私を含む2人は石勝線に平行する夕鉄バスに乗り込んで新夕張駅前へ戻りました。まだ楓駅の廃止がアナウンスされている前でしたが、少なくともこの日は、すでにそういう方々のみが利用する状況になっていました。

なお、私はワンマン運転士に「列車では戻りませんので」と声をかけて降りました。こんな経験は生まれてこのかた初めてでした。

本線はカーブを描いて離れています

楓駅待合室遠景
【写真5】楓駅待合室遠景。《2003年10月25日撮影》

この折り返し用列車のホーム(区間列車用ホーム)とは別に本線用のホームも設けられており、上下線に相対式ホーム2面2線が設けられています。直線状になっている区間列車用列車ホームとは異なり、こちらはカーブを描いています。なお、区間列車用ホームと本線下りホームは隣接していますが直接の行き来はできず、いったん駅前に出る必要がありました。

本線は全便通過列車のみ

本線とホーム
【写真6】本線とホーム。ホームへの出入りは自由に可能でした。《2003年10月25日撮影》

本線にもホームが設けられはしたものの、こちらには定期列車が停車したことはなく、私の知るかぎりではほとんど使われたことがない模様です(団体列車等で停車して扉扱いした可能性はあります)。上屋や待合室なども設けられてありませんが、それでもおそらく4両ぶん程度のホーム長はあり、優等列車が臨時停車した場合はドアカットで対応可能な状態になっていました。

本線のホームには自由に出入りできました

下り本線から南千歳方を望む
【写真7】下り本線から南千歳方を望む。《2003年10月25日撮影》

結局使われることのないホームでしたが、特に出入口が封鎖されることはなく、立ち入り禁止等の表示もないため、自由に出入りできました。高速で列車が通過する場所のため、安全上いささか問題がある気もするのですが、訪問時にはありがたく実際に立ち入らせてもらいました。

なぜか階段もオープンに

2番ホームへ向かう階段通路
【写真8】2番ホームへ向かう階段通路。《2003年10月25日撮影》

石勝線本線をオーバークロスする未舗装の道路があり、本線上りの2番ホームへはここから階段を降りて出ることができました。この階段へのアプローチはすっかり草むしていましたが、やはり階段の入口にある扉は施錠されておらず、こちらも自由に出入りすることが可能でした。ただし設備はかなり荒れており、おそるおそる足を踏み入れていきました。

駅前には一定の生活圏あり

楓駅駅前
【写真9】楓駅駅前。《2003年10月25日撮影》

駅前には集合住宅が並んでおり、商店や郵便局があるなど生活感もある一帯で、いわゆる“秘境駅”らしいひなびた雰囲気はまったくありませんでした。むしろ、旧夕張線在来区間にある東追分駅や十三里駅のほうが、はるかに人の気配が少なかったものです。また駅の近くには物産館があり、一定の利用者があるようです。それでも列車の利用が最終的に朝の1往復までになった理由は、石勝線に平行する国道274号線を走る夕鉄バスが集落を縫うように走っていたためでしょう。実際私は、楓駅から新夕張までバスで折り返しました。

なお、旧楓駅の西側に位置する楓市街には、登川支線時代の楓駅がありました。ここをバスで通った際には、車窓には廃屋が目立ち、人の気配はあるものの活気はまるで感じられませんでした。

停車列車 [2004年3月現在]

本文記載のとおり、新夕張-楓間の区間列車が1日1往復しているのみで、占冠方面へは新夕張で特急に乗り換える必要がありました。このため、楓から占冠以東へ移動する場合は、新夕張で途中下車しなければ、新夕張-楓間を無料で往復することができる運賃計算上の特例が設けられていました。

乗り場

本線北側が1番線、本線南側が2番線、行き止まり線が3番線でしたが、【写真6】に見える1番線と2番線は客扱いを行わない通過列車のみで、列車の発着は3番線のみでした。

  • 3.石勝線上り 新夕張、南千歳方面

駅名の由来

確認中。

歴史

詳細は確認中。

1981年10月1日
石勝線開業に伴い、開業。当初から旅客のみの取扱いでした。
1987年4月1日
国鉄の分割民営化に伴い、JR北海道の駅となります。
2004年3月12日
この日かぎりで楓駅廃止、翌日より信号場に格下げ。

周辺の見どころ

確認中。

このページの先頭へ