私が下車したときは島式ホーム1面2線と留置線を持つ交換可能駅で、タブレット交換が行われていました。この駅を急行列車「砂丘」が通過する際には、1990年代に入って全国唯一となっていた通過列車へのタブレット授受が健在で、鉄道ファンの人気を集めていました。
ホームに待機する駅長が、助手からそれまでの区間のタブレットを受け取り、ホーム端にあるキャリアから助手がタブレットを抜き取るという懐かしい光景を見ることができました。さらに、転轍機を駅員が操作してポイントを切り替えるという、これまた前時代的なシーンも残っていました。しかしこの区間にも自動化の波が訪れ、1997年11月、智頭急行線開業とともにタブレット授受は廃止されて棒線駅となり、それに伴いこの駅も無人化されました。
駅構内には、ラッセル車の向きを変えるために使われたターンテーブルが残っています。これは長らく土中に埋もれたまま放置されていたものですが、2007年4月に整備されて再び光が当たるようになりました。
駅舎は木造平屋建て、玄関に小さな軒を設けたのみという小ぶりなものです。
山峡の小駅といった趣で、駅前にも商店街などはなく閑散としていますが、この駅は旧阿波村へのアクセスポイントとなっており、連絡バスが駅前に乗り入れています。