静かな農村という表現が適切な地区に設けられている於福駅は、美祢線のほかの多くの駅と同様、相対式ホーム2面2線に跨線橋、下りホーム側に駅本屋という構成になっています。なお、駅舎とは別に、反対側にある上りホームにも比較的大きめの待合室が設けられています。
駅舎は木造平屋建の小ぶりなもので、待合室および窓口部分にあたる正面右側は新建材で補強されています。いっぽう左側はおそらく駅設置当初からと思われる古い下見板張りが姿を見せており、特に左手側面(切妻側)からは、この建物が相当な年代物であることがうかがえます。
ホームの長門市方からは、誰がつくったともなく草が踏みしだかれた“通路”ができていました。東側にある上りホーム側からは大回りせずに出入りできるため、ここを通っている人が多いようです。この“通路”には線路横断を禁じる旨の注意書きがありましたが、この“通路”を通ってホームへ直接出入りしてはいけないという記述はなく、いわば裏口として黙認されているようです。
この於福駅の特徴のひとつとして、ホーム相互を結ぶ跨線橋のほか、駅の東西を結ぶもうひとつの跨線橋が設置されています。無人駅に跨線橋が2つもあること自体、いささか理解に苦しむものではありますが、こちらは駅北西側の旧貨物ホーム跡と、駅東側を通っている国道との間をダイレクトに結ぶものです。前述の“通路”を利用して線路横断をする人が増えたことから、下りホームと国道側とを結ぶための連絡通路として設置されたもののようです。もっとも、私が歩いたときにはかなりガタが来ており、しばらくすると線路を横断するほうがまだ安全ではと思える状態になりそうではあります。
駅正面の於福集落は小さな農村で、古くからの民家が集まっています。駅はこちら側を向いていますが、国道はこれと背を向けて通っており、この国道沿いに「道の駅おふく」などが立地することから、駅舎と反対側のほうが賑わいを見せています。道の駅には日帰り温泉施設や物産販売所があり、列車待ちの間の休憩に最適になっています。
乗り場
番線表示は確認できませんでした。
- (西側)美祢線下り 長門市方面
- (東側)美祢線上り 美祢、厚狭方面
駅名の由来
確認中。
歴史
路線開通当初からの駅です。
- 【1920年10月30日】 国有鉄道(鉄道省)美禰軽便線・重安-於福間が開業した際、於福駅開業。
- 【1924年3月23日】 於福-正明市(現、長門市)間が開業、中間駅となります。
- 【1987年4月1日】 国鉄の分割民営化に伴い、JR西日本の駅となります。
- 【2010年7月15日】 豪雨により美祢線が全線で不通。
- 【2011年9月26日】 美祢線が全線復旧、営業再開。
周辺の見どころ
道の駅おふく
駅から北東へ、徒歩2分。かけ流しの温泉施設や物産の販売所、レストランがあります。温泉はゆったりしているうえ浴槽も多く、入湯料も500円(月2回半額)と手軽に入浴できます。毎月第2水曜定休。
【WebSite】http://www.michinoeki-ofuku.co.jp/