相対式ホーム2面2線から成る交換可能駅で、下り(西側)ホーム側に駅本屋があり、上り(東側)ホームとの間は跨線橋で結ばれているという、美祢線各駅で標準型ともいえるスタイルになっています。
ホームはさほど長くはありませんが、列車が停車できる前後の幅はずいぶんと長く、有効長が大きく取られています。これは、長大な貨物列車どうしが行き違い可能にするために取られたもので、渋木以南の各駅に共通して見られるものです。もっとも、今となっては石灰石輸送が全廃されるなど貨物列車の運行自体が激減しており、この立派な設備も役不足の状態をかこっています。
駅舎は木造平屋建のオーソドックスなもので、駅の西側がすぐ崖になっており用地取得が難しいためか、玄関が線路と並行になっており横から出入りする形になります。美祢を除く美祢線中間各駅で共通するとおり窓口は閉鎖されていますが、窓口のカウンターは中からカーテンが引かれているのみで、板張りなどはされていません。待合室部分は比較的コンパクトですが、改札口上部には美祢線各駅(板持を除く)で見られる案内表示機が設置されていました。
駅のうち、目に入りやすい玄関側の部分は明るいサイドボードで補強されていますが、駅名を記す看板は昔ながらのものが残っています。なお、玄関の反対側は、今なお黒い下見板張りの壁がそのまま姿を見せています。
駅玄関正面は小広場になっており、車を停めることができるスペースになっていますが、駅前を通る道路は狭く、普通乗用車どうしでも離合が難しい場所が多くあります。駅前広場の向かいには乗車券の委託販売を行っている商店がありましたが、私が訪れたときには戸を閉ざしており、営業時間は確認できませんでした。周辺は小集落となっていますが、廃屋となり朽ち果てつつある民家も見られます。
駅の東側を流れる厚狭川を挟んだ対岸に国道316号線が通っており、こちらの通行量が多いことから、車の音はよく聞こえます。湯ノ峠駅からは駅の北側に橋が架かっているため、国道側からのアプローチは比較的容易です。
乗り場
番線表示は確認できませんでした。
- (西側)美祢線下り 美祢、長門市方面
- (東側)美祢線上り 厚狭方面
駅名の由来
文字通り、温泉が湧出する峠であることからきたと思われます。
歴史
国有化後に設置された駅です。
- 【1905年9月13日】 山陽鉄道によって厚狭-大嶺(現在は廃止)間が開業、この時点では駅未設置。
- 【1921年2月10日】 国有鉄道(鉄道省)大嶺線・厚狭-厚保間に湯ノ峠駅設置。当初より旅客のみの扱いでした。
- 【1987年4月1日】 国鉄の分割民営化に伴い、JR西日本の駅となります。
- 【2010年7月15日】 豪雨により美祢線が全線で不通。
- 【2011年9月26日】 美祢線が全線復旧、営業再開。
周辺の見どころ
湯の峠温泉【未訪】
駅から南へ、徒歩6分。林の中にある静かな温泉で、一軒宿があります。