山林のすぐ脇にホーム
下立を出ると左右に山が迫るようになり、しだいに高原鉄道の様相を呈してきます。さほど長くはないトンネルを2つ抜けると、右側がすぐ山林というロケーションになっている愛本駅に到着します。
下立を出ると左右に山が迫るようになり、しだいに高原鉄道の様相を呈してきます。さほど長くはないトンネルを2つ抜けると、右側がすぐ山林というロケーションになっている愛本駅に到着します。
現在では単式ホームのみの棒線駅ですが、かつては交換可能駅だったものと思われ、打ち捨てられたホームが草に埋もれて残っているほか架線柱の幅が広くなっています。ホームの幅が狭いのは相変わらずですが、あまり手入れされていないせいか凹凸が激しく、表面が波打っているように見えます。ホーム上には木造の待合室が設置されていますが、深緑色の塗装は迷彩色のようで、あまり周囲の光景に合っていません。
愛本で電車を降りた乗客は、上市方にある駅舎を経由して外に出ることになります。この駅舎の入口にあたる部分が狭いうえに暗く、「ほんとうにここに入っていかなくてはいけないのか」という気になってしまいます。しかし、出口はここしかありません。
駅舎の中は、もと有人駅だったことがはっきりわかる造作になっており、据え付けの木のベンチがあるほか、出札窓口なども残っています。ただし、他の地鉄の駅に比べて汚れが非常に目立っているのが残念なところ。後述のとおり駅周辺には一般の民家が少なく、地元住民による清掃活動などが後手に回っているのでしょうか。
駅舎は背の高い木造平屋建てのもので、袴腰を4つも用い、いったいどこが玄関なのかと思わせるような摩訶不思議な構成になっています。それでも、玄関である軒下のハーフティンバーにはさりげない意匠が施され、直線的な建築物の中に曲線を入れることで全体を柔らかい雰囲気に仕立て上げています。
外壁がサイドボードで補強されているのはやむを得ないでしょうが、屋根が妙な色の建材で補強され、建築物としての統一感がまるでなくなっているのはまことに残念で、また軒の部分を中心に老朽化が進んでいるのも気がかりなところ。B級建築物とはいえ壊してしまうには惜しいと思うのですが、抜本的な改修が必要な段階にきているようにも思えます。
ホームのすぐ隣が山林ということもあって、私が下車したときには虫が非常に多く、特急列車からひとり降りると虫が多数群がってきて往生しました。
駅のすぐ脇には新愛本発電所があるほか、駅から歩いて2分のところに黒部市役所宇奈月庁舎(旧宇奈月町役場)があります。利用者の多くは市職員と思われ、駅の近辺には民家はほとんど見あたりませんでした。黒部川の対岸との間を結ぶコミュニティバスがありますが便数は少なく、利用者は市役所への用務客が中心と思われます。
かつては特急停車駅でしたが、2015年2月のダイヤ改正に伴い特急は通過となりました。
愛本の駅名は黒部川対岸にある集落名から取られたものです。地名の由来については確認中。
黒部鉄道が下立-桃原(現・宇奈月温泉)間を開通させた際に設置された駅です。
確認中。