かつての市玄関駅も今は閑散

中滑川

なかなめりかわ Nakanamerikawa
中滑川駅
▲中滑川駅駅舎《2005年10月23日撮影》

本記事は、駅舎改築前に乗降した際の情報を基に書かれています。現状は大きく変わっているものと思われますので、ご注意ください。

駅への入口はシャッター通り

中滑川駅改札口へのアプローチ
【写真1】駅への入口を入ると、シャッターが冷たくお出迎えしてくれます。奥に見える手すりは、改札口へ降りる階段に設置されているものです。《2005年10月23日撮影》

上市と同様、ほかの商業施設と同じビルに収まっています。駅の東側にはロータリーが整備されており、駅玄関正面に「中滑川駅」という控えめな看板が出ていますが、どう見ても脇にあるスーパーのほうが目立っています。スーパーの付属駅のような観があります。

その駅入口を入っていくと、最初にお出迎えしてくれるのが、シャッターの波です。

一部には営業を続けていると思われる店舗もありますが、「テナント募集」と書かれた張り紙が色あせていたり、シャッターの前にベンチが置かれて通行客(買い物客にあらず)の便宜を図っていたりという光景が広がっています。かつては駅にいたる通路がショッピングセンターとして機能していたのでしょうが、駅前広場に面しているスーパーをのぞけば、商業施設が入るだけの魅力がすっかり失せていると判断されているさまがうかがえます。おまけに照明が非常に暗く(【写真1】は、限界まで感度を上げたうえでフォトレタッチソフトにて修正を施しています)、はじめての人が駅に入ろうとするには、それなりの思い切りのようなものが求められます。

改札口は建物の真ん中に

中滑川駅改札口
【写真2】中滑川駅の改札には、立派な窓口とラッチが設置されています。しかし、照明が暗いうえに人の出入りが少なく、1人の委託駅員が広い事務所を独占していました。《2005年10月23日撮影》

このシャッターが居並ぶ中を進んだ正面に、中滑川駅の改札があります。実は、この左側と奥にも出口があり、そちらには飲食店と農協が入ってはいるのですが、屋内のシャッター通りというのは強烈な印象を与えます。なお、中滑川の駅舎を管理しているのは農協で、富山地鉄も一テナントというのが実態のようです。形態は上市とほぼ同じなのですが、富山への移動には滑川からJRを利用するほうが便利である以上、商店の入居はいまさら望み薄なのかもしれません。

1階の通路から少し低いところに、立派な出札窓口とラッチがあり、滑川市における富山地鉄の中心駅として位置づけられていたことがうかがえます。しかし、改札口を取り囲んでいるのがシャッターの波で、改札周辺が暗いこともあって、お世辞にも列車を待ちたくなる空間ではありません。ホームでしばらく待っていればすぐに列車がくるというわけではない以上、駅そのものにある程度の居住性が求められると思うのですが、こうも陰々滅々たる空間では、列車を待とうという気になれません。1階にあるので、高架駅である電鉄魚津と異なり、すぐ駅の外に出られるのが救いといえば救いですが。

地下通路は水浸し

中滑川駅地下通路
【写真3】中滑川駅地下通路。《2005年10月23日撮影》

列車に乗るには、改札を入って地下道を通ってホームに向かいますが、漏水が激しく、簡易な橋が渡されていました。壁面には広告スペースが設けられていますが、ほとんどの部分が空になっています。

ホームは清掃が行き届いています

中滑川駅ホーム
【写真4】現在使われている島式ホームそのものはきれいに整備されており、待合室も設けられています。なお、停車している電車のさらに左側には、JR北陸本線の複線が走っています。《2007年9月8日撮影》

駅舎にばかり気合いが入っているような駅ですが、それでも特急列車を含めたすべての列車が停車します。また、ホームはきれいに整備されており、清掃された待合室には清涼飲料水の自動販売機が置かれていました。

使われていないホームも

使われていない中滑川駅ホーム
【写真5】使われていない中滑川駅ホーム。《2007年9月8日撮影》

島式1面2線のほか、東側(駅本屋側)にも1面1線がありますが、使われている形跡はまったくなく、改札口へ通じるルートは封鎖されていました。

中滑川駅は、駅敷地を含めた駅周辺の土地を富山地方鉄道が滑川市農業協同組合(現・アルプス農業協同組合)に譲渡し、農協が農協会館とマーケットビルを建設、駅舎およびその周辺を地鉄が所有することでステーションビル化したもので、1969年7月31日に完成しました。この際に2面3線化されましたが、これは岩瀬地区と中滑川を結ぶ海岸線の建設を念頭に置いていたためとのこと[1]

駅の周辺は住宅街となっています。滑川市の中心街は、駅からJR北陸本線を挟んで北側に位置しており、少し離れていますが、JR滑川駅(地鉄滑川駅と隣接)よりは近い位置にあります。

停車列車 [2008年9月現在]

特急を含むすべての列車が停車します。

乗り場

駅本屋側から順に、3番線、2番線、1番線となっていますが、3番線は使われていません。

  • 1.本線上り 寺田、電鉄富山方面
  • 2.本線下り 電鉄黒部、宇奈月温泉方面

駅名の由来

北陸本線の滑川駅が町外れに設けられたのに対し、市街地にほど近いところに設置されたことを示す「中」を付した駅名が採用されたものです。

歴史

立山軽便鉄道が1913年6月25日に滑川-上市口(現・上市)-五百石(上市口-五百石は現在のルートより南東側。のち廃止)を開通させたのちに設けられた駅です。開業当初から「中滑川」の駅名で、1921年2月20日には「晒屋」と改称しましたが、1932年3月22日に元の「中滑川」に戻っています。

1913年6月25日
立山軽便鉄道により滑川-五百石が開通。この時点では中滑川駅は設けられていません。
1914年2月18日
中滑川駅開業。
1917年
立山鉄道が富山電気鉄道に合併、同社の駅となります。
1943年1月1日
富山地方鉄道の成立に伴い、同社の駅となります。
1969年7月31日
駅ビル完成。

周辺の見どころ

確認中。

  1. 富山地方鉄道『富山地方鉄道五十年史』537-538ページ。なお、巻末年表では7月1日竣工という記述があります。

このページの先頭へ