謎の壁が屋根を支えます
黒部川が形成する渓谷が少し広がったところに畑が作られている一角に設けられている、片面ホームのみの駅です。
駅舎と呼べるものはなく、ホームの中ほどに木の柱とトタン板を組んだ、壁と屋根があります。全体を覆っているわけではないので待合“室”と呼ぶことはできませんが、かといって単なる屋根というわけでもありません。言葉で説明するのは難しいのですが、このホーム上の設備は【写真1】のようになっています。
ベンチなのか荷物置き場なのかも判然としない木組みがある部分のホーム側には、柱ではなく壁が設けられています。確かにこの地域は冬になると相当の積雪量があり寒いことはうかがえますが、しかし両脇が空いている以上、中途半端な壁をつくってもあまり意味があるとも思えません。どうしてこんなしろものができたのか、まったくもって不思議です。
つっかい壁?
この「壁」の具合は、ホーム西側から見るとよりわかります。ホームのすぐ西側は空き地で(特に貨物ホーム跡地というわけでもなく離農地と思われます)、その隣は畑となっていますが、駅のすぐ宇奈月温泉方にある踏切をわたって道路をすこし歩いてからホームを眺めると、駅の特異さを実感できるでしょう。
やっぱり目立つのは壁
いっぽう、東側では地鉄と並行している県道がすぐ脇に通っています。こちら側から駅を見ると、ごくふつうの壁が姿を見せているのみで、オーソドックスな無人駅のように見えます。
山深いながら民家もそれなりに建つ
駅の周辺には数戸の民家が建っていますが、商店などのない小集落です。列車待ちの間集落の中をぶらついていると、犬に激しく吠えつかれ、その吠える声が黒部川の谷に10分近くこだましていました。
音沢の集落は黒部川をわたった対岸にあります。
停車列車 [2015年9月現在]
特急は通過します。
歴史
黒部鉄道が下立-桃原(現・宇奈月温泉)間を開通させた際に設置された駅です。
- 1923年11月21日
- 黒部鉄道が下立-桃原(現、宇奈月温泉)を開通させた際に開業。
- 1940年3月27日
- 黒部鉄道が富山電気鉄道に譲渡され、同社の駅になります。
- 1943年1月1日
- 富山地方鉄道の成立に伴い、同社の駅になります。