絹織物工業地域の中心に置かれたターミナル

西桐生

にしきりゅう
Nishikiryu
西桐生駅
▲西桐生駅駅舎《2008年4月5日撮影》
西桐生駅舎を正面から望む
【写真1】西桐生駅舎を正面から望む。《2008年4月5日撮影》

桐生市の中心街にほど近い場所に設けられた、上毛電気鉄道のターミナルです。桐生市の中心街は、商業面では本町通り沿い、行政面では渡良瀬川に近いJR桐生駅南側にあたりますが、西桐生という名称にしたのは、前者を意識したものでしょうか。

有形文化財登録いらいスポットの当たる機会が増えた名物駅舎は、木造モルタル平屋建て。屋根は寄棟ですが、待合室の出入口にはマンサードが配され、いっぽうでホーム側の駅務室部分は切妻になっています。マンサードの中央には、換気口を兼ねていると思われる丸い明かり取りの窓があり、その上下にはレリーフ状の装飾が施されています。渋い塗色のためがっしりとした重そうな印象を与えますが、このマンサード付近のデザインのせいか、重厚さがやや緩和された印象を受けます。

正面の車寄せに当たる部分には巨大な軒がぬっと伸びており、列車の利用客を出迎えています。また、窓回りにはタイルが張り巡らされ、いいアクセントを利かせています。

西桐生駅待合室
【写真2】西桐生駅待合室。《2008年4月5日撮影》

駅を正面からはいって右手には、大きな待合室があります。旅客用に本格的な待合室を備えているのは、旧国鉄の駅では珍しくありませんが、これだけのスペースをさいた待合室を地方私鉄が用意しているのは、現存する駅ではほとんどありません。上毛電気鉄道の本社は一貫して前橋にあったにもかかわらず、桐生にこのような設備が用意されたのは、それだけ桐生中心市街地の鉄道利用者が多かったことを示すものでしょう。今となっては、モータリゼーションの進行と、JR両毛線の改良に伴う増発および速度向上の結果、過分な設備になっているのが残念ではあります。

南側に窓を多く配置して採光をよくし、壁面を漆喰塗りにしているため、明るくなっています。現在は、ベンチのほかに飲料水の自動販売機やフリーペーパーのスタンドが場を占拠していましたが、かつてはここに人がびっしりだったのでしょうか。古い建物らしい雰囲気を出そうと工夫している形跡はありますが、照明が一般的な蛍光灯なのが残念。

西桐生駅改札口(ラチ外から)
【写真3】西桐生駅改札口をラチ外から。《2008年4月5日撮影》

正面を入って左手には改札口があります。自動券売機が設置されているほかは、レトロ調の雰囲気に統一しようとしてか、ラッチが木製になっています。ただし、時刻表や運賃表など、列車の運行や乗車に必要となる情報についてまで古さを出している結果、いささかわかりにくくなっている感も否めません。

西桐生駅改札口(ホームから)
【写真4】西桐生駅改札口をホームから。《2008年4月5日撮影》

改札をホーム側からみると、左手に精算窓口があり、列車からおりた乗客で乗車券を所持していない人などは、この有人精算窓口で処理を行います。この窓口は改札窓口とつながっていますが、列車の到着時、およびその直後の改札時には、改札担当の駅員は窓口と反対方向に立っており、流れが分かれるようになっています。

西桐生駅ホーム
【写真5】西桐生駅ホーム。《2008年4月5日撮影》

ホームは島式1面2線の頭端式になっています。上屋は開業当初のものと、戦後に増設されたものの2つに分かれていますが、駅舎側にある古いホーム上屋にもなかなかの貫禄があり、一見の価値があります。屋根のない部分には花壇が設けられ、花が目をなごませてくれます。

西桐生駅の正面はゆったりしたスペースがあり、タクシーが常駐しています。駅前の道路沿いには、小さな個人商店が多く集まった古い商店街が形成され、細い道路を自動車がさかんに行き来しています。JR両毛線の桐生駅とは歩いて3分ほどで、前橋とは異なり簡単に乗り換えることができます。

乗り場

北側から順に、1番線、2番線となります。

駅名の由来

特記事項なし。

歴史

開通以来の駅です。

周辺の見どころ

確認中。

その他

【上毛線】 中央前橋城東三俣片貝上泉赤坂心臓血管センター江木大胡樋越北原新屋粕川新里新川東新川赤城桐生球場前天王宿富士山下丸山下西桐生

《乗り換え》JR東日本-両毛線:桐生

2010年2月19日、写真を差し替えおよび追加の上加筆修正

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