高架ホームには列車が頻繁に
上野駅は、東京の北側に設けられている一大ターミナルです。駅は非常に大きく、2階の高架ホーム、1階の地平ホーム、地下3階の地下ホームと大きく分かれ、乗り場も非常に多くの数に上ります。
かつては“東京の北の玄関駅”という位置づけで、東北本線や高崎線、常磐線からの長距離列車がひっきりなしに出入りしていました。東北・上越新幹線開業後もその位置づけは変わりませんでしたが、新幹線の始発駅が上野から東京になると上野は基本的には中間駅となり、むしろ上野公園や浅草といった一級観光地へのアクセス拠点になっています。
2階の高架ホームには、島式ホーム6面12線がずらりと並んでいますが、多くが中間駅仕様となっているため、終着駅らしさは特に感じられません。
これとは別に、新幹線ホームが地下のかなり低いところに設けられています。こちらは島式ホーム2面4線で、国鉄末期の1985年3月以降、東北・上越両親幹線の始発駅として多くの利用者が行き来しました。現在でも一定の利用はありますが、乗り換えにかなりの時間を要することもあってか、最初から東京へ向かう人が増えているようです。
地平ホームには昔の名残が
一方、地平ホームは、かつて各方面へ向かう特急や急行などの長距離列車が発車した場所で、石川啄木が「ふるさとのなまりなつかし停車場の…」とよんだのもこことされているほか、多くの歌謡曲などでも取り上げられてきました。3面5線が設けられており、現在も一部の列車がこのホームから発着していますが、列車待ちの大行列などはもはや見られません。
特に、13番線には最後まで寝台列車が発着しており、利用客専用の待合室がありました。もっとも、ベンチが置かれているのみで、空港のラウンジのようなものではありませんでした。【写真2】中央はかつての荷物ホームで、その後は新聞搬送のみに使われているとのことです。
グランドコンコースはかつて大荷物の波が
改札口は、中央(地平)、不忍(中2階)、公園(3階)および入谷(パンダ橋口方面、3階)の4カ所あります。
地平ホームすぐ前に、上野駅の巨大なグランドコンコースがあります。中央改札の上には猪熊弦一郎の手による壁画が掲げられています。
駅舎内の店舗増加に伴い狭くなってきたものの、この場のにぎわいは昔から変わることなく、人の行き来が非常に激しくなっています。高い天井とフラットな床面は、ターミナル駅らしさを色濃く出しており、これらは東京の他のJR駅では見られないものです。この空間を通ってこそ上野に来たのだ、という気もします。
昭和初期の駅舎は貫禄十分
駅舎正面は、中央改札口を出てしばらく進み、左手になります。
駅舎は、乗車客を1階から、降車客は地下1階へという動線で設計されたといわれます。駅舎内部の2階には、業務の効率化を図ったのでしょう、回廊が設けられました。
首都高速道路がすぐ上を通っていますが、大きな陸橋が駅前に整備されていることもあり、昭和初期に建てられた駅舎の貫禄は今なお健在です。
もっとも、改札内乗り換えや地下鉄からの乗り換え利用、上野公園方面へのアクセスが多い現状では、なかなか駅舎の全体像を眺める機会がないのも事実です。
ペデストリアンデッキは昭和通りを越えて
正面口向かいにはペデストリアンデッキが整備され、昭和通りの向かい側にまで伸びています。駅前には東京地下鉄の本社がある他、金融機関なども多数立地しており、東京の玄関口らしい雰囲気が残っています。
南側には商業施設
現在は、いわゆる“駅ナカ”店舗が増大しており、改札外は南側に「アトレ」が、改札内は「エキュート」があり、多数の店舗がテナントとして入っています。
1階コンコースの南側はアトレが占拠していますが、このうち高架を挟んで東側に広小路口、西側に不忍口という出口がそれぞれあります。こちらは駅舎正面とは異なり、マルイやアメヤ横丁など、商業施設ゾーンに向かい合っています。
不忍口からは電車がよく見えます
不忍口付近で鉄道の高架がカーブしていることもあって、不忍口から程近い京成上野駅入口付近からは、電車が行き来しているのがよく見えます。なお、JRから京成に乗り換える場合は、通常は日暮里駅の方が便利ですが、上野でも地下道経由で乗り換えが可能です。
駅周辺は傾斜地
駅の西側は傾斜地になっているため、南側の不忍口は1階(高架ホームの下側)にある一方、西側の公園口は3階(高架ホームの上側)になっています。これは、上野駅が武蔵野台地と沖積平野のちょうど境目にあたっているためで、この状態は赤羽付近まで続くことになります。
東西自由通路はパンダ橋
上野駅の構内は非常に広いこともあって、正面玄関付近の北側から上野公園方面を結ぶ自由通路「パンダ橋」が設けられており、ここから「東上野口」に入ることができます。
3階にはエキナカ施設が充実
3階には「パンダ橋口」があり、このフロアから改札に入ると、エキナカ施設「エキュート」の店舗がぎっしり並んでいます。新宿や池袋などと異なり敷地に余裕があるため、各店舗ともゆったりしている印象があります。
停車列車 [2020年6月現在]
新幹線の一部列車が通過します。在来線は全列車が停車します。パターンが複雑なので詳細は割愛。
西側から順に1番線、2番線…となります。1番線から12番線が高架ホーム、13番線から17番線が地平ホーム、19番線から22番線が新幹線地下ホームです。
歴史
詳細は確認中。
略年表(クリックまたはタップで開閉)
- 1883年(明治16年)7月28日
- 日本鉄道・上野-熊谷間が開業(当時は大宮駅未設置)した際、上野駅開業。当初は旅客のみの取扱いでした。
- 1883年(明治16年)8月26日
- 貨物営業開始。
- 1886年(明治19年)11月30日
- この日限りで貨物営業廃止。
- 1906年(明治39年)11月1日
- 日本鉄道の国有化に伴い、官設鉄道(逓信省鉄道作業局)の駅となります。
- 1919年(大正8年)8月10日
- 貨物営業開始。
- 1920年(大正9年)3月31日
- この日限りで貨物営業廃止。
- 1985年(昭和60年)3月14日
- 東北新幹線上野開業。
- 1987年(昭和62年)4月1日
- 国鉄の分割民営化に伴い、JR東日本の駅となります。
- 1991年(平成3年)6月20日
- 東北新幹線東京開業、新幹線の中間駅となります。
- 2015年(平成27年)3月14日
- 上野東京ライン開業、宇都宮線・高崎線および常磐線の一部列車が東京駅および東海道本線へ乗り入れ。
- 2020年(令和2年)3月20日
- 公園口駅舎を北側へ移設[1]。
その他
- 第1回「関東の駅百選」(運輸省関東運輸局)選定駅。