小湊鉄道は、養老渓谷を出ると本格的な人口希薄地帯に入り、房総丘陵の中心部を分け入るように進んでいきます。この区間の列車の運転本数は非常に少なく、2009年6月現在では1日わずか5往復に過ぎません。路盤の保全状態もあまりよいとはいえないようで、列車はガタガタと車体を揺らしながら走り、終着駅である上総中野に到着します。
小湊鉄道は、その大半が市原市内を走っていますが、この上総中野付近は夷隅郡大多喜町にあり、上総中野駅は船内で唯一、市原市以外に属する駅です。
外房の大原から房総半島に分け入ってきた、いすみ鉄道と接続しています。いすみ鉄道側からみても上総中野は終着駅で、両路線の終着駅となっていますが、もともと小湊鉄道は五井から安房小湊までを結ぶ予定(社名の「小湊」はその名残)、いすみ鉄道は大原から木更津までを結ぶ予定(前身の国鉄木原線は「木」更津と大「原」を結ぶことを意図。なお、木更津-上総亀山は久留里線として開業)でしたから、途中で力尽き延長を断念した路線どうしが接続した、ということになります。
そういった経緯のせいか、両者のホームは別々になっており、小湊鉄道は駅舎側の片面ホーム、いすみ鉄道は島式ホーム(実際に使用しているのは片側のみ)で、本線はつながっていません。
側線で両者のレールがつながっており、物理的な直通運転は可能です。このため、しばしば直通運転の検討が行われてきましたが、小湊側といすみ側とを直通する需要がほぼ皆無のため、現在まで実現していません。
下の写真では、いちばん右側が小湊鉄道のレール(右手前側に駅舎あり、手前で切れています)、中央がいすみ鉄道のレール(足もとがいすみ鉄道のホーム)、いちばん左側が両線を結ぶレール(奥で小湊、手前でいすみの両線に接続)となっています。ただし、両線を結ぶレールにはホームがないため、もし直通させようとする場合は乗降ができません。
駅舎は無人駅仕様のコンパクトなもので、内部はベンチが据え付けてあり時刻表やポスターが掲示されています。外装は渋いログハウスか山小屋のような外観になっています。駅の脇には巨大な竹のようなものが建っていますが、実はこれはトイレで、駅舎よりもはるかに目立ちます。
かつて有人駅だった当時は駅の管理は小湊鉄道が行い、国鉄木原線の運航管理も委託されていたといいますが、現在では無人化されており、それぞれの路線の列車があまり関係なさげに並んでいるのみとなっています。
駅前広場はかなりのスペースがあり、大型のバスなどが楽に回転できます。駅前には商店などもありそれなりにまとまった集落となっていますが、小湊鉄道の沿線では決して大きい集落ではありません。
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小湊鉄道がまず開通、その後国鉄木原線(いすみ鉄道の前身)がここまで延びてきました。
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《乗り換え》いすみ鉄道
2009年8月25日
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