川の上にかかるスマートな駅

香櫨園

こうろえん Kōroen
香櫨園駅
▲香櫨園駅外観《2005年7月17日撮影》

 

香櫨園駅ホーム
【写真1】かつては幅の狭かったホームも、高架化に伴いゆったりした余裕あるものに姿を変えています。《2005年7月17日撮影》

夙川の上を高架で横断するところに設けられている駅で、対向式2面2線から成ります。ホームはゆったりと幅広くなっており、住宅地の高架駅であるため壁面が大きく、窓が小さくなっています。そのいっぽうで、夙川の景観を楽しめるようにバルコニーが設けられており、特に上りホームから見られる松並木はなかなかのものです。阪神の各駅のなかで、最もしゃれた駅といってよいでしょう。ホームは7両対応で、2006年10月28日のダイヤ改正から上り区間特急が停車するようになりました。

コンコースは夙川の右岸にあり、アーチ状の玄関が特徴的です。南北は自由通路となり、その元町側に改札が設けられています。バリアフリーに完全対応していますが、高架化前は方向別改札が地平に設けられていたことを考えると、乗降に手間と時間がかかるようになったことは否めません。

 

香櫨園駅旧駅舎
【写真2】香櫨園駅下り旧駅舎。格子を入れた破風と床下のアーチがモダンでした。《1993年3月7日撮影》

かつては、天井川である夙川の堤防の上にホームがあり、上下線の改札が完全に分かれていました。この当時の駅舎は、格子をはめこんだ破風が涼やかな印象を与える、駅が開業した当初のものが長らく使われていました。古い駅舎の多くを空襲などで失っていた阪神では珍しく、電車開通当時の雰囲気を残しており、阪神・淡路大震災にも耐えました。

 

香櫨園旧駅表示
【写真3】旧駅舎に掲示されていた右書き駅名表示が、ガード壁面に掲示されています。《2005年7月17日撮影》

この駅舎は、高架化工事に伴い取り壊されましたが、下り改札上に用いられていた右書きの駅名表示が保存され、コンコースに展示されています。

 

香櫨園駅自由通路
【写真4】自由通路の向かいには、数戸の商店があるのみです。《2005年7月17日撮影》

この香櫨園から打出にかけて、阪神沿線では有数の落ち着いた住宅地が広がっています。駅前には数戸の飲食店が並んでいますが、駅周辺に広がっている住宅地の規模に比べると、商店の数が極端に少なくなっているのが特徴です。駅周辺が風致地区に指定されていることも理由にあるのでしょうが、年季の入った住宅地を抱える駅で、これだけ商店の少ないところも、あまり見られません。

 

香櫨園駅を北から望む
【写真5】夙川の川面から香櫨園駅を見上げた光景。《2005年7月17日撮影》

駅がまたいでいる夙川は、六甲山系の東端から流れる川のひとつで、川沿いの遊歩道「夙川オアシスロード」は散歩道として、また桜の季節には花見の名所として知られています。旧駅舎時代ののどかな雰囲気は、新駅舎になって高級感漂う風景にかわりましたが、これもまた香櫨園のひとつの顔だと感じます。

停車列車

確認中。

乗り場

確認中。

駅名の由来

駅名の香櫨園は、この地に阪神電鉄が設けた遊園地の名前に由来します。この遊園地は、阪急神戸線夙川駅南側にある片鉾池周辺およびその西側にありました(現在の西宮市羽衣町の南半分)。ここで行われた早稲田大学とシカゴ大学の野球壮行が、阪神電鉄をして球団経営に食指を動かしめる契機になったといわれています。もっとも、遊園地経営は長続きせず、ほどなく住宅地となっています。

歴史

1907年4月に、香櫨園遊園地および香櫨園浜海水浴場が開設され、それの連絡駅として開業しました。香櫨園遊園地は早くも1913年に廃園となりましたが、香櫨園浜が阪神間の海水浴場として脚光を浴び、夏には大にぎわいを見せたといいます。しかし、海洋汚染に伴い1965年には遊泳が禁止され、すっかり静かな駅となりました。

駅舎は長らく木造のコンパクトなものが使われ続けましたが、震災後に高架化を踏まえた仮駅舎になりました。さらに、高架化工事に伴い再改築され、2001年3月3日に現在のものになっています。これと同時に、駅名表記も「香櫨園」に変更されました。

1907年4月1日
開業。

周辺の見どころ

辰馬考古資料館

辰馬考古資料館
【写真A】辰馬考古資料館外観。《2005年7月17日撮影》

駅から北西へ、徒歩2分。白鷹(辰馬本家からの分家筋)の経営者である辰馬悦蔵が収集していた大量の銅鐸や玉などを収蔵する資料館で、15点におよぶ国指定重要文化財を含め、学術的にきわめて価値の高い考古資料を多数展示しています。このほか、富岡鉄斎の各種美術品も展示しています。時期に応じて展示内容の入れ替えが大きいので、事前の確認をお勧めします。入館料200円、月休。

西宮市大谷記念美術館

駅から南西へ、徒歩6分。大谷竹次郎の邸宅を転用した美術館で、ゆったりと開けた庭園を備えた、落ちついた雰囲気で観覧できます。クールベやユトリロ、梅原龍三郎など、近代美術を多く収蔵しています。毎年おこなわれている絵本原画展「ボローニャ国際絵本原画展」が有名で、このほかユニークな企画展を数多く開催しています。入館料不定(企画展により異なる)、水および不定期休。

西宮市立郷土資料館

駅から南東へ、徒歩6分。西宮市教育文化センター内にあり、西宮市の歴史、文化、民俗などに関する各種資料を収集しています。入場無料。

御前浜公園(香櫨園浜)

駅から南へ、徒歩10分。大阪湾に残る、貴重な砂浜です。かつて香櫨園海水浴場として活況を呈し、遊泳禁止後もしばらくプールなどの設備が活用されましたが、1970年代には静かな公園となっていました。白砂青松をうたわれた松の大半は戦時中に伐採されましたが、現在でもその一部が残り、幕末に築造された西宮砲台跡(国指定史跡)を彩っています。

夙川公園

駅から北へ連なる一帯。阪急-神戸線:夙川をご覧ください。

その他

  • 第4回「近畿の駅百選」(国土交通省近畿運輸局)選定駅。

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