阪神甲子園球場の最寄り駅として、全国的に有名な駅です。停車する列車は複雑ですが、基本的に、平日の朝から昼間にかけての特急(直通特急)をのぞく全列車が停車します。駅長が配置されており、鳴尾から芦屋までの各駅を管理しています。
甲子園球場で野球が開催される日には、梅田からノンストップ特急が運転されることもあります。野球開催日には、駅員の配置や旅客の誘導などの特別体制がとられます。
高架上に4面4線が設けられていますが、通常利用されているのは内側の島式ホーム2面4線で、緩急接続が行われます。外側ホーム2面は降車専用ホームで、野球開催時などの混雑時に乗降を分離する際に利用されますが、通常は閉鎖されています。
出口は、駅の下を走る道路の東西に1個所ずつ設けられています。メインは東口ですが、甲子園球場に近いのは西口のほうで、旅客が短い時間帯に集中する傾向があります。
駅のすぐ南側にはバスターミナルがあり、かつての路面電車を引き継ぐ路線バスをはじめ、上甲子園や浜甲子園、鳴尾浜などに向かうバスが頻発しています。かつては、阪神が経営する遊園地「阪神パーク」の最寄り駅でもありましたが、阪神・淡路大震災による被災後は「阪神パーク甲子園住宅遊園」として住宅展示場を併設して入園料を無料化するも営業収益は悪化、大型テーマパークであるユニバーサル・スタジオ・ジャパンの開園を機会に2003年3月に完全閉園し、現在は大型商業施設「ららぽーと甲子園」に生まれ変わっています。また、競輪場も姿を消してしまいました。
一帯は静かな住宅地になっていますが、阪神戦の終盤になると、雰囲気が一転します。阪神タイガースが勝ったときと敗れたときでは、同じ場所とは思えないほど空気が変わります。
歴史
武庫川の支流である枝川と申川が埋め立てられたのち、この両河川が分岐していたところに設置されました。現在、駅から球場へ向かう途中に残っている松並木は、申川の堤防の名残です。
開業当初からの高架駅ですが、これは、かつて両河川を渡る橋の上に駅が設けられたためです。当初は、甲子園大運動場(現・阪神甲子園球場)へのアクセスを目的とした臨時駅でしたが、1926年7月16日から通年営業となっています。
1926年7月には、軌道線の甲子園線が浜甲子園までを結び、1928年6月になると同線が上甲子園まで延長されますが、1975年5月6日に廃止されています。
- 1924-08-01
- 開業。
近隣の見どころ
阪神甲子園球場
駅から南へ、徒歩3分。いわずとしれた、阪神タイガースの本拠地にして高校野球のメッカです。1924年、甲子(きのえね)の年につくられたことから命名され、現在は一帯の地名として完全に定着しました。バックネット裏の屋根を覆っている銀傘が特徴。どっしりしたつくりのスタンドにツタが絡まるさまは、日本の野球を見つめてきた風格を感じさせます。阪神・淡路大震災にも耐えましたが、老朽化は否めず、近いうちに新しい球場が建設される予定です。
【Map】OpenStreetMap / Google Map / Mapion
甲子園浜
駅から南西へ、バスで10分。自然の砂浜や干潟が残る貴重な浜辺で、国の鳥獣保護区に指定されています。一部は、阪神パーク(戦後は甲子園駅近くに移転)や川西飛行場の跡地が海に沈んでできたもので、干潮時にはこれらの残骸を見ることができました(震災後については未確認)。鳥類に限らず、さまざまな海洋動物が生息していますが、阪神・淡路大震災によって地盤が数十cm低下した結果、飛来する野鳥の減少や一部貝類の絶滅などの現象がみられます。「甲子園浜自然環境センター」(無料、月休)には、ミニ水族館や各種資料があります。
【Map】OpenStreetMap / Google Map / Mapion
その他
- 第1回「近畿の駅百選」(国土交通省近畿運輸局)選定駅。