戦時中、大刀洗の地には航空基地が設けられ、甘木線はここへの軍需輸送目的で敷設されたという経緯があります。戦前の日本陸軍太刀洗飛行場跡地はのちにキリンビールの工場へと転じました。その大刀洗の街の玄関駅が、太刀洗駅です。もっとも、太刀洗駅は筑前町内にあり、大刀洗町(太刀洗町にあらず)からは少し外れているのですが。
かつてはキリンビール福岡工場へと専用線が伸びており、ここから出荷される貨物列車が出入りしていましたが、1984年9月に廃止となり、これをもって甘木線から貨物列車が消滅しました。
島式ホーム1面2線から成るほか、側線が設けられています。長らく交換設備は撤去されていましたが、2003年に交換設備が復活し、列車交換が可能になりました。貨物列車が発着していた当時は地下道を通って駅舎へ通じていたといいますが、今となってはその痕跡はありません。
島式ホームの東側に待合室があり、ホームの東西にそれぞれ構内踏切を介した出口が設けられています。東側からの出口がメインで、西側の出口は水田と住宅地が広がる一帯へと通じています。
現在の駅舎はプレハブの簡素なもので、例によって無人化されていますが、国鉄時代に使われていた旧駅舎は車寄せもある立派なものでした。切妻のシンプルなものながら重厚な雰囲気を漂わせているのは、戦時中に設けられた駅に共通する特徴といえます。この旧駅舎は長らく、筑前町立大刀洗平和記念館として使われてきましたが、同館は国道の南側に移転し、現在では「太刀洗レトロステーション」として利用されています。なお、開館時間はあまり長くなく、私が駅に着いたときにはすでにクローズしていました。
駅前には立派なロータリーがあり、甘木に次いで整備されています。周辺の民家もそこそこあります。
乗り場
番線表示は確認できませんでした。
駅名の由来
大刀洗の名称は、南北朝時代の武将、菊池武光が血刀を川の水で洗ったとされる川があり、この川が大刀洗川と呼ばれるようになったことによるといわれています。なお、 地元では「大刀洗」「太刀洗」の両表記が混在しています。
歴史
甘木線開業当初からの駅です。
- 【1939年4月28日】 国有鉄道(鉄道省)甘木線の基山-甘木が開通した際、開業。
- 【1984年9月18日】 この日かぎりで貨物営業廃止。
- 【1986年4月1日】 国鉄甘木線(第1次特定地方交通線指定)が甘木鉄道に転換、同社の駅となります。
周辺の見どころ
大刀洗平和記念館【未訪】
駅から南へ徒歩2分。陸軍大刀洗飛行場の所在地である筑前町が、その歴史を伝えるために設けた記念館。500円、無休。
【WebSite】http://tachiarai-heiwa.jp/
キリンビアパーク福岡【未訪】
駅から南東へ徒歩15分。キリンビール福岡工場の見学と試飲のほか、季節によってポピーやコスモスの花を楽しめます。