地方都市の玄関となっている駅は、鉄道駅らしい無骨で実直な印象を与えるつくりになっているものが多いものです。しかし、高架化されて一新された行橋駅は、そんな先入観などかなぐり捨てて、ドンとスケールアップしたような形になっています。この高架駅は、行橋市の土地区画整理事業にあわせて、福岡県とJR九州が「JR日豊本線行橋駅付近連続立体交差事業」を計画してつくられたもので、1997年5月に工事着手、1999年9月に工事竣工にいたったものです。
ホームは島式2面4線から成りますが、駅の外に出ずとも度肝を抜かれるのが、随所に踊る曲線の連続。楕円を切り取って並べたようなホーム上屋、アーチを描く出口指示など、二次関数のグラフが座標の上で踊るかのごとき景観をなしています。上屋そのものはオーソドックスなバタフライ屋根なのですが、全体に伸びやかな雰囲気をつくっています。また、採光もよく計算されているようで、非常に明るく開放的です。もっとも、直線で形成される部分も当然のことながら多く、それとのバランスがあまり取れていない印象も否定できません。
ホームの上は印象的なのですが、地味に凝っているのはむしろ高架下。コンコースは東西に通り抜けができるようになっており、北側に中央改札口が設けられ、線路と平行する通路沿いに店舗が入るという、これだけであれば平凡な高架駅です。ところが、行橋という駅は、それにとどまりません。
商業スペースとして有効活用する場合には商店がぎっしり並ぶ、ゆとりある空間をつくろうとすればむやみと広いコンコースに椅子がぽつぽつ並ぶ。左右を通り抜けできる高架駅では、これが一般的でしょう。しかしここ行橋では、乗客の歩行ルートを広めにとる一方で、高架下の店舗に対しても採光などを考慮し、非常に開放的な空間をつくっています。高架下特有の圧迫感がほとんど感じられず、この点を取ってみても、実にすぐれた構造になっているといえましょう。すでに解体されてしまった阪急梅田駅を彷彿とさせる天井の曲線もまた、歩行者に対してやさしい空間を提供しています。
駅の外に出ると、駅全体のバランスを保ちつつ加えられた装飾が目を引きます。軒という日本語がミスマッチと思える3つのアーチが玄関付近に用いられ、その上にも同じ形のものが取り付けられています。支柱は尖塔のごとく凛とした方向性を与えており、穏やかさと躍動感の双方を示しています。おそらく橋をイメージしたものと思われますが、元となったモチーフについてはわかりません。
さらに、駅舎と足並みをそろえるかのように、駅前広場にもさまざまな仕掛けが行われており、広場を歩いているだけでも飽きません。トリック探しをするというのではなく、駅を核として都市の顔をつくりだすとはどういうことなのかについて出された解答を解釈する、そんな気分になります。
街の風景を大きく変えてしまう建造物であることは確かであり、したがってかつての小ぶりな駅とのギャップに戸惑う向きも多いでしょう。しかし、これだけ大胆な挑戦をした駅はめったにあるものではありません。もっと話題をよんでしかるべき、快作だと思います。
駅の東側には古くからの商店街が並んでおり、金融機関なども立地しています。いっぽう西側は新しく開発された地域で、高層マンションやショッピングセンターなどが並んでおり、東口とは好対照です。
停車列車 [2008年11月現在]
すべての列車が停車します。
乗り場
東側から順に、1番線、2番線…となります。5番線は、平成筑豊鉄道田川線に割り当てられています。
- 1.日豊本線下り 中津、大分方面
- 2.日豊本線下り 中津、大分方面(特急列車は2番線を使用)
- 3.日豊本線上り 小倉方面(特急列車は3番線を使用)
- 4.日豊本線上り 小倉方面
駅名の由来
確認中。
歴史
詳細は確認中。
- 【1895年4月1日】 豊州鉄道により小倉-行事が開通。この行事駅は行橋駅の北側に、暫定駅として設置されたものです。
- 【1895年8月15日】 豊州鉄道により行橋-伊田(現、田川伊田)が開通、行橋駅開業。この時点では、現在のJR日豊本線は行橋に乗り入れていません。
- 【1895年8月25日】 豊州鉄道が行事から行橋に乗り入れ、現在の日豊本線行橋駅が開業、あわせて行事駅は廃止。
- 【1901年9月3日】 豊州鉄道が九州鉄道に合併され、九州鉄道の駅となります。
- 【1907年7月1日】 九州鉄道が国有化されます。
- 【1974年10月31日】 この日かぎりで貨物扱い廃止。
- 【1987年4月1日】 国鉄の分割民営化に伴い、JR九州の駅となります。
- 【1989年10月1日】 田川線が平成筑豊鉄道に転換、JR九州の駅としては単独の中間駅となります。
- 【1997年5月25日】 高架化一部完成に伴い発着番線変更。
- 【1999年2月--日】 高架化完成。
- 【1999年3月--日】 新駅舎使用開始。
周辺の見どころ
確認中。
【日豊本線】 小倉-西小倉-南小倉-城野-安部山公園-下曽根-朽網-苅田-小波瀬西工大前-行橋-南行橋-新田原-築城-椎田-豊前松江-宇島-三毛門-吉富-中津-東中津-今津-天津-豊前善光寺-柳ヶ浦-豊前長洲-宇佐-西屋敷-立石-中山香-杵築-大神-日出-暘谷-豊後豊岡-亀川-別府大学-別府-東別府-西大分-大分-牧-高城-鶴崎-大在-坂ノ市-幸崎-佐志生-下ノ江-熊崎-上臼杵-臼杵-津久見-日代-浅海井-狩生-海崎-佐伯-上岡-直見-直川-重岡-宗太郎-市棚-北川-日向長井-北延岡-延岡-南延岡-旭ヶ丘-土々呂-門川-日向市-財光寺-南日向-美々津-東都農-都農-川南-高鍋-日向新富-佐土原-日向住吉-蓮ヶ池-宮崎神宮-宮崎 …(略)…鹿児島