松前駅は、郡中線内の拠点駅という位置づけになっています。相対式ホーム2面3線から成りますが、このうち島式ホームの外側にある線は郡中港方に側線が残っているのみで、営業線としては2面2線となっています。郡中港方にある構内踏切で連絡しています。
駅舎は木造平屋建てのもので、玄関に多少の自己主張が見られるものの、切妻に黒い羽目板を用いたごくオーソドックスなものながら、郡中線内では最大規模のものです。また、昭和初期以降大規模な改修が行われていないものと推測され、伊予鉄道各駅の中でも貴重な存在です。
郡中線内の主要駅という位置づけのせいか待合室はなかなか立派で、重たい印象を与える駅舎の外観とは裏腹に、ホーム側に多数のガラス窓を入れて採光をよくしているほか、改札部分の天井を高くして圧迫感を軽減させており、なかなかに居心地のよい空間を創出しています。
私が下車したときには、待合室を支えている柱には花が活けられていたほか、夏場ということもあってか団扇が置かれており、電車を待つ人は思い思いにパタパタとあおいでいました。風通しがよいことも相まって、照りつけるような外から待合室にはいると、生き返るような心持ちになりました。
ホームは比較的最近になってかさ上げされたため、改札を入ってから少し階段を上る構造や、古レールを使ったホーム上屋支柱などは郡中線の他駅と同様です。駅舎のホーム側は漆喰を使って白く塗られており、駅の外側から感じられる枯れた印象はあまり感じられません。
駅舎、ホームを含めた駅全体を通して、設備が古いながらも手入れがよく行き届いており、とても落ち着いた空間になっています。それぞれのパーツを単独で見ればさしたる価値があるとも思えませんし、景観という観念を持ちだして広域的に認識するほど大仰なものでもありません。しかし、かつては日本にあまねくあった鉄道駅の一典型風景が現役そのままに使われながら残っており、それが心地よさを演出する舞台となっている点に注目したいものです。適切な表現がなかなか見あたりませんが、いわば“鉄道のある風景”を最も具体的に凝縮しているという印象を受けました。
駅は道路から少し奥に入ったところにあるため、横に長い駅舎の写真を撮るのはなかなかに困難でした。駅の周辺は住宅と商店が多く並んでいます。
松前は漁業および農産物集積地として栄えた町です。松前町は面積20平方キロ米足らずでありながら「平成の大合併」でも単独町制を維持しており、交通の便がよく水利にも恵まれていることもあって人口の増加傾向が続いています。
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南予鉄道が外側(現・伊予市)-郡中を開通させた際に設置された駅です。
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【松前郵便局】駅から北へ、徒歩10分。未訪。
2007年9月2日
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