風格のある老駅舎も引退寸前

三津

みつ Mitsu
三津駅
▲三津駅駅舎《2007年7月8日撮影》

 

三津駅ホーム
【写真1】島式ホームから見た改札方面。《2007年7月8日撮影》

三津は、松山の海の玄関として栄えた三津浜の玄関駅で、曲線を多用した優美な古典駅舎が鎮座しています。

駅構内は単式ホームと島式ホームの2面から成り、もとは2面3線となっていましたが、現在は島式ホームの内側線は撤去されており、変則的な2面2線となっています。もっとも、レールが撤去された乗り場の番線表示はそのまま残されていました。

島式ホームと駅本屋との間は構内踏切で連絡しています。

 

三津駅待合室
【写真2】三津駅待合室。《2007年7月8日撮影》

改札口の上には電照式の行き先表示があり「只今の改札は」という案内があります。平屋ながら高い天井をもつ待合室にはベンチが置かれ、古い建物にしてはかなり多くのガラス窓を用いているため室内は明るい印象です。古くからのものが大事に使われており、ICカード簡易改札機や自動券売機がやや場違いに感じられます。

 

三津駅駅舎ファサード
【写真3】三津駅駅舎ファサード。《2007年7月8日撮影》

駅舎はアールヌーヴォー調の曲線を多用している点が名高いのですが、木材を巧みに用いつつ開放感を維持しており、公共性の高い建築物として立派な作品に仕上がっているといえます。技術的にこれといったものがあるわけではないのですが、ほかには見られない独特の景観を醸し出すのに成功しているとはいえるでしょう。

駅舎の建築年代は不明ですが、1930年代ごろのものと思われます。ただし老朽化が進んでいることに加えバリアフリー化などが求められていることもあり、現在の駅舎をイメージした新しい駅舎に改築されることが決定おり、この風格ある老駅舎もそう長くはないのが実情です。

駅を出ると、一帯はさしたる特色を感じにくい住宅地となっていますが、その少し先には、長らく松山の海の玄関口であった三津浜港があります。夏目漱石の『坊ちゃん』の主人公が三津浜港から降り、この三津から汽車に乗ったというくだりがあるとおり、城下町松山の外港として発展してきました。

乗り場

確認中。

駅名の由来

全国的によくみられるもので「津」は港を指し、「三」=御は美称としての接頭辞と思われます。

歴史

伊予鉄道が、外側(現・松山市)-三津浜を開業させたのは1888年10月28日のことで、当時の純然たる民間の鉄道としては阪堺鉄道(現在の南海)に次ぐものでした。その後、1892年5月1日に高浜まで延長、この際に中間駅となりました。なお、官営鉄道が松山に達したのは1927年4月、それまで約40年の長きにわたり官鉄と無縁の私鉄として営業していたことになります。

1888年10月28日
開業。
2009年2月5日
新駅舎供用開始[1]

周辺の見どころ

確認中。

  1. 伊予鉄道プレスリリース「三津駅改修竣工記念式典・三津ループバス出発式」(2009年2月12日)。

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