ホーム中ほどに構内踏切への階段が
他社線と連絡しているターミナル駅の隣の駅というものは、往々にして旅客利用上では存在感が薄く、施設もコンパクトなものであるケースが多いものです。しかしこと飯坂線に限ってはこのパターンは当てはまらず、福島駅のひとつ隣にあたる曽根田駅に、重厚で存在感のある立派な駅舎が残っています。
ホームのほぼ中央にホームと並行に2方面への階段を設け、そこから構内踏切で外へ出るという形式ですが、ホームを削って階段を設ける場合はホームの向きと垂直方向にするのが一般的で(このタイプの階段もめっきり減りました)、曽根田駅のようなパターンは珍しいといえます。
ホームは片面のみを使用
島式ホーム1面2線から成りますが、東側(駅本屋側)は飯坂方のみレールと架線が残るものの使われておらず、西側線のみが使われており、実質的に1面1線になっています。
なお、構内踏切の線路側にはロープが張られており、旅客は左右確認せずに横断できます。
ホームからは渡り廊下へ
駅舎は洋館風の建物ですが、随所で改修が行われてきたとみえてかつての窓が埋め込まれているなど、いささかツギハギ的なしろものになっています。2010年10月に屋根の葺き替えなど大幅なリニューアルが行われましたが、創建当初への復元を想定したものではなく、あくまでもカラーリングやライティングについて手直しをしたというレベルのようです。
構内踏切を渡ると、駅舎裏手の渡り廊下につながっており、駅待合室へつながります。東北北部などで見られるスタイルで、厳冬期にホームへ出ずぎりぎりまで屋内で待つことができるための設計でしょう。
駅前には高層建築が多く
駅待合室内には窓口がそのまま残っていますが、今では窓口営業は一部の営業時間でのみ行われます。改札口に乗車駅証明書発行機が置かれているのみです。待合室内は非常に天井が高く、さらに室内全体が白く塗り直されていることもあって、外観に似合わず明るく感じます。かなり広いため学生などのたまり場になりやすい感じではあります。入口右手にはフラワーショップが入居しているため、駅の入口は花でいっぱいです。
駅の周辺には大型商業施設や高層マンションが林立しており、福島駅周辺で最も景観の変化が大きい一帯です。この曽根田駅にも再開発計画があり、高層マンションと一体化した駅になるというビジョンが発表されていましたが、今のところ工事着手の気配さえありません。鉄道会社自身により駅舎がリニューアルされたことを考えると、当面棚上げになっているのでしょう。しばらくの間は、この駅舎も安泰と思われます。
歴史
福島-美術館図書館前間については、資料により異同が大きいため、今後確認を行います。以下は手許資料によるものです。
略年表(クリックまたはタップで開閉)
- 1942年(昭和17年)7月17日
- 福島-森合(現、美術館図書館前)間の新設軌道移設に伴い、電鉄福島駅として開業。
- 1962年(昭和37年)9月5日
- 駅名を「曽根田」に変更。
- 2010年(平成22年)10月
- 駅舎改装。