中間主要駅は温泉駅に
北上線の中間からやや横手寄りに位置している駅です。現在は優等列車が運行していない北上線ですが、運行されていた当時には特急や急行も停車していた主要駅です。開業以来「陸中川尻」という正統派の駅名を名乗っていましたが、民営化後に温泉施設「ほっとゆだ」を併設し、さらに駅名までそれに揃えたことで、強いインパクトを示すようになりました。北上線が特殊自動閉塞化した現在でも、駅員が配置されており「みどりの窓口」が営業しています。
2面3線の国鉄型配線を備えており、千鳥式に配置された2つのホームの間は構内踏切で連絡しています。駅本屋は南側に設けられていますが、駅の南北を結ぶ跨線橋が設けられており、反対側に出ることもできます。
駅舎は木造2階建の大柄なもので時計塔があり、入母屋と切妻を組み合わせたもので、大店(おおだな)のような風情です。この種の駅舎は自治体が設置しているケースが多いのですが、これはJR東日本が設計、施工したものです。建設費は、面積に応じて旧湯田町とJRが負担[1]。2階は無料で利用できる休憩所になっています。正面から見て右側に駅の窓口と改札口、中央に「ほっとゆだ」があり、駅舎内で行き来できるようになっています。「ゆ」と染め上げられたのれんが目を引きます。
「ほっとゆだ」を運営しているのは、西和賀町が出資する第3セクター「西和賀産業公社」で、隣接するゆだ錦秋湖駅に近い「穴ゆっこ」も運営しています。温泉の泉質はさらりとしたもので、入りやすいものです。浴室はコンパクトですが、不思議と窮屈な印象は受けませんでした。浴室内には信号機が設置されており、列車の発車時刻が近づくとともに青→黄→赤と色が変化します。北上線は日中3時間ヘッドなので、ゆったり漬かっても青のまま変わらないかもしれませんが。なお、男風呂と女風呂のほか、貸切風呂もあります。
しっかりした駅前広場が整備されており、盛岡や北上駅からの路線バスが発着するほか、タクシーが常駐しています。旧湯田町の玄関駅であり、駅ほど近くにはダム湖である錦秋湖が広がっています。