ひろびろとした平地に巨大な駅が出現

七戸十和田

しちのへとわだ Shichinohetowada
七戸十和田駅
▲七戸十和田駅《2010年12月4日撮影》

壁面がずいぶん高く

七戸十和田駅ホーム(奥は東京方)
【写真1】七戸十和田駅ホーム(奥は東京方)。《2010年12月4日撮影》

東北新幹線が八戸から新青森まで延伸される際、中間駅として七戸町の玄関駅として設置されたのが、七戸十和田駅です。

地平に相対式ホーム2面2線が設けられている駅で、ホーム部分の壁面がずいぶん高くまで延びています。もっとも壁面の窓は明かり取りとしてのみ機能しており、ホームから外を見ることはできません。

駅のホームからみた天井は、コンコースがある部分を除いて高くなっています。鉄骨がそのまま姿を見せており風通しの良さを感じさせるつくりになっていることもあいまって、高い壁に囲まれているにもかかわらず、圧迫感を抱かせないつくりになっています。

階段まわりはソフトな印象に

七戸十和田駅ホーム(奥は新青森方)
【写真2】七戸十和田駅ホーム(奥は新青森方)。《2010年12月4日撮影》

ホームの中ほどに橋上駅舎があり、この部分の支柱の腰回りに木材が使われるなど、この部分に近いところで木を用いてソフトな印象を与えるつくりになっています。

波のような吊り天井

七戸十和田駅階段付近天井
【写真3】七戸十和田駅階段付近天井。《2010年12月4日撮影》

また両ホーム上には、ウェーブを描くように木を並べた吊り天井になっています。これは、ホームから見るとソフトな印象を与え、また駅舎の外部から見ると、直方体の外観をした駅舎にアクセントを与えるという効果を上げています。ホーム上屋支柱の底部に木を巻き付けることで寒々しさを回避するなど、全体的にクールでありながら、温かみを残そうという意図がうかがえます。

階段を下りるときに吊り天井がよく見えます

七戸十和田駅ホームを上から望む
【写真4】七戸十和田駅ホームを上から望む。右側が下り、左側が上り。《2010年12月4日撮影》

この吊り天井は、特にコンコースからホームに下りようとするときによく見えます。この角度ではどうしても鉄骨のごつごつした感触から逃れられないのですが、その冷たさを緩和しています。

改札内コンコースも開放的

七戸十和田駅改札内コンコース
【写真5】七戸十和田駅改札内コンコース。《2010年12月4日撮影》

改札内コンコースも開放的な雰囲気で、高速で通過する新幹線を間近で見ることができます。コンコース正面に描かれているのは、八甲田山でしょうか。

オープンカウンター式の有人改札口

開業日の七戸十和田駅改札口
【写真6】開業日の七戸十和田駅改札口。奥に見える人混みは入場券を手にした地元の人によるものです。《2010年12月4日撮影》

駅の改札口には自動改札機が設置されているほか、ガラスで仕切られたオープンカウンター式の有人改札口があります。開業日には、入場券で駅の中を見に訪れた地元の人が、有人改札口に列を作り、「乗車記念」の印を押してもらっていました。

自動改札機3台というのは、盛岡以北の新幹線の駅としては比較的多くなっています(二戸駅などは2台でした)。自動改札を出て正面に進むと、左右に自由通路が延びています。開業日の改札外コンコースでは、入場券(記念入場券ではなく、端末機で出力したもの)を買い求める地元の人の列が絶えませんでした。

観光交流センターが直結する南口

開業日の七戸十和田駅南口
【写真7】開業日の七戸十和田駅南口。地元産の農作物を使った食品の販売などが行われていました。《2010年12月4日撮影》

両側のうち、七戸町の中心部方向にある南口がメインになっています。

駅の南側には「七戸町観光交流センター」が併設されており、自由通路と直結しています。ここにはコーヒーショップが入っているほか、イベント用の小ホールがあり、開業日には青森県などで使われている“ゆるキャラ”のマスコット集合などが開催され、賑わいを見せていました。

駅前には大きなロータリーが設けられ、路線バスやタクシーが発着します。開業日には大規模な物産展が開かれており、観光客や見学者がおおぜい足を止めていました。もっとも、駅周辺には何もなく、レンタカーの営業所があるのみで、開発はこれからというところでしょうか。

レンタカーの営業所1軒のみの北口

七戸十和田駅北口
【写真8】七戸十和田駅北口。大きな駅前広場とレンタカーの営業所があるのみです。《2010年12月4日撮影》

いっぽうの北口は、私が降りたときにはタクシーが1台止まっているのみで、閑散としていました。駅を見に来る人もあまり足を運ぶことはなく、駅舎の写真を撮る人がぱらぱらといるという程度で、開業日からしてかなし寂しい状態。大きな駅前広場に面して大駐車場が用意され、こちらにはそれなりに車が停まっていたので、単に南口の物産展やイベント会場へ移動しただけかもしれませんが。こちらも、北口と同様に駅前にはレンタカーの営業所(別の会社です)があるのみで、やはり商店の類は確認できませんでした。

駅そのものが町の中心から外れているため、ビジネス利用はもとより、単独で個人観光客を呼び込むのは難しそうです。十和田地方や南部地方へのバスツアー客への接続が鍵となりそうではあります。市街地から外れているため、自家用車で直接乗り付けるのが容易であることから、自動車利用者をターゲットとした商業施設などの設置が実現すれば、広域利用が案外集まるかもしれません。

停車列車 [2010年12月現在]

「はやて」の一部は通過します。

乗り場

南側から順に、1番線、2番線となります。

  • 1.東北新幹線下り 新青森方面
  • 2.東北新幹線上り 盛岡、東京方面

駅名の由来

確認中。

歴史

詳細は確認中。

2010年12月4日
東北新幹線の八戸-新青森間が開通した際、七戸十和田駅開業。
2011年3月11日
東日本大震災が発生、東北本線などが大規模に運休。
2011年3月22日
東北本線・盛岡-新青森間が復旧、運転再開。
2011年4月7日
この日発生の余震により、再び東北新幹線が運休。
2011年4月13日
東北新幹線・盛岡-新青森間が復旧、運転再開。

周辺の見どころ

確認中。

◆ミニコラム◆ 新幹線開通を夢見ていた南部縦貫鉄道

七戸十和田駅をたずさえる東北新幹線は、2010年12月現在、七戸町を通る唯一の鉄道路線ですが、かつては七戸町にはもうひとつの鉄道が走っていました。その名は、南部縦貫鉄道。野辺地と七戸の間を、丸っこい旧型のレールバスがガタガタと車体を揺らしながら、のんびりと結んでいました。もともと沿線開発に伴う砂鉄採掘を目論んで敷設されたものですが、実際には砂鉄採掘事業は頓挫してしまいます。鉄道ファンには人気があった南部縦貫鉄道ですが、旅客輸送量が極端に少ないこともあって経営は苦しく、自治体から受託していた関連事業で何とかやり繰りを続けている状況でした。そんな南部縦貫鉄道が希望の綱としていたのが、東北新幹線青森開通時の新駅設置。南部縦貫鉄道が新幹線アクセス路線となり、野辺地、さらには下北半島方面まで通じる役割を担うことで、生き延びようとしたものです。しかし、“整備新幹線”だった東北新幹線は、「ミニ新幹線」として着工され三沢経由となり、これが南部縦貫鉄道の希望にとどめを刺した形になりました。

皮肉なことに、南部縦貫鉄道が1997年5月に運転を休止したのち、東北新幹線はフル規格での着工に変更され、七戸新駅の設置も既定路線となりました。しかし、路盤の荒廃が著しいこともあって、休止された路線が復旧することはなく、南部縦貫鉄道はそのまま2002年7月かぎりで正式に廃止となります。

貴重なレールバスは、現在も旧七戸駅構内で動態保存されており、その動く姿を見ることができます。

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