飯田線の中核駅のひとつ

中部天竜
ちゅうぶてんりゅう
Chubutenryu

中部天竜駅

 多様な表情を見せる飯田線のうち、山岳路線の趣が特に濃くなるのは、その中間付近の区間になります。中部天竜はその南端にあたり、飯田線主要駅のひとつといってよいでしょう。かつては三信鉄道の本社が置かれたほか、戦後は佐久間ダムの建設に伴う貨物輸送などで大いに賑わいを見せましたが、現在は運転拠点としての機能もなくなってり、佐久間地区の玄関駅が主要な役割になっています。

 駅舎は木造平屋建てのもので、古いものをリニューアルしていますが、全体を白く塗り直していたり、玄関部分に鋭角のペディメントを付したり、以前はなかった袴腰を加えたりと、外観が大幅に変更されており、木造駅舎にノスタルジーを抱くことはまず無理でしょう。なお、待合室には新幹線のシートが置かれていましたが、廃車となった車両のシートを取り外し、わざわざここまで運んだのでしょうか。「みどりの窓口」のある有人駅ですが、早朝夜間は無人になるようです。

中部天竜駅駅舎内

中部天竜駅駅舎内。なぜか新幹線のシートが待合室に置かれていました。《2007年7月29日撮影》

 島式1面2線のほかに側線が伸びており、西側にある駅本屋との間は構内踏切で連絡しています。この駅発着の列車も多く設定されています。駅構内には、かつて機関区があった施設を利用した「佐久間レールパーク」があります(「周辺の見どころ」参照)。このほか駅舎側には、かつての貨物ホームが残っていました。

中部天竜駅構内

中部天竜駅構内。「佐久間レールパーク」が左手にあります。《2007年7月29日撮影》

 駅前には飲食店などが数戸あるのみで、中心となる集落は天竜川を挟んだ反対側にあります。旧佐久間町の中心であった中部地区には高校や病院などが立地しており、浜松市北部山間部では浦川と並ぶ、まとまった集落になっています。なお、この中部地区は現在「なかべ」と読みますが、地元の人に聞いたところ、お年寄りの間では「なかっぺ」という古い呼びかたが今でも生きているとのこと。

 中部天竜駅と中部の間に横たわる天竜川に架かる橋は2本あります。このうち駅前からまっすぐ対岸に向かう「中部大橋」は、しっかりしているものの幅が狭くなっています。これは、飯田線から佐久間ダム建設のために設けられた建設基地までの引き込み線を転用したもので、地元ではその外観から「B型鉄橋」と呼ばれています。もうひとつの橋は、駅の南側から対岸を結ぶ吊り橋で、B型鉄橋が使われる前はこれがメインルートでした。

 国鉄時代には、二俣線(現、天竜浜名湖鉄道線)の遠江二俣(現、天竜二俣)からこの中部天竜にいたる予定線「佐久間線」の計画がありましたが、中部天竜側では工事が行われることはなく、未成線のまま終わっています。

停車列車 [2009年9月現在]

 すべての列車が停車します。

乗り場

 西側(駅本屋側)から順に、1番線、2番線となります。

駅名の由来

 確認中。

歴史

 三信鉄道開通の際に設置されました。

周辺の見どころ

佐久間レールパーク

佐久間レールパーク(1) 佐久間レールパーク(2)

佐久間レールパーク。《いずれも2007年7月29日撮影》

 駅構内。旧中部天竜機関区が廃止されたのちに敷地を利用して設置された、JR東海直営の鉄道博物館です。国鉄時代に活躍した貴重な車両が数多く展示されており、そのうち内部に入るものも多く、車両好きにはたまらない空間です。鉄筋2階建ての展示館では、飯田線を中心とした鉄道の貴重な各種備品や写真類が大量に展示されており、鉄道史好きにとっても大満足でしょう。残念ながら、展示車両の大半が、2011年に開館予定のJR東海運営の博物館に移転することとなっており、2009年11月1日をもって閉館が決定しています。乗車券ないし当駅で有効な乗車券類所持で入館可、土日祝日のみ開館。

【URL】http://recommend.jr-central.co.jp/rail-park/

佐久間ダム【未訪】

 天竜川に設けられた重力式コンクリートダム。電源開発が開発を行ったもので、着工からわずか3年で1956年10月に完成。竣工当時は日本最大のもので、日本の土木史上貴重な存在。水力発電所の発電量は年平均14億kWhにもなります。人造湖の佐久間湖畔には電力館があり、湖を一望できます。観光シーズンには中部天竜駅からシャトルバスが運行されます。

2009年9月2日

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