宇連川の形成する谷の中ほどに設けられている駅で、飯田線と平行する国道151号線より一段高いところに駅舎が、さらにその上の築堤上にホームが設けられています。
ホームは島式1面2線から成り、さらに側線と、かつて使われていた貨物ホーム跡が残っています。
ホームの豊橋方にある階段を下に降り、築堤下の通路を通ると駅舎に出ます。
無人化されており、簡易駅舎は顔文字を連想させる形状のものです。フクロウ(ブッポウソウか)のレリーフがありました。駅舎右側の待合室スペースには扉があり、虫が入ってきにくい構造になっています。
現在は、駅舎の改築にあわせて姿を消していますが、木造駅舎と並んで二階建ての木造建造物がありました。鳳来寺鉄道時代には同鉄道直営旅館として、国有化後は国鉄官舎として使われていましたが、1970年ごろから徐々に使われなくなり、1980年代初頭には廃屋同然となっていたとのこと[1]。
駅名の由来となっている大野の集落は宇連川の対岸にあり、この地域ではそれなりの規模のものです。かつて奥三河地域で営業を展開していた大野銀行の本店が置かれていたほか(「周辺の見どころ」参照)、武家屋敷や問屋などの古い建物が多く残っており、地味ながら途中下車してゆっくり見て歩きたい一角です。
特急は停車しません。
東側(駅本屋側)から順に、1番線、2番線となります。
確認中。
鳳来寺鉄道開通の際に設けられた駅です。
駅から東へ、徒歩3分。奥三河地方の地域金融機関であった大野銀行の本店で、角地に建ち2階まで太い柱が印象的な建造物は、この地域におけるモダンの象徴となったものでしょう。大野銀行は戦時統制のもと、岡崎銀行、稲沢銀行とともに1945年に東海銀行(現、三菱東京UFJ銀行)に合併されますが、その後は東海銀行三河大野支店→東三河信用組合三河大野支店→豊川信用金庫三河大野支店(晩年は鳳来支店三河大野出張所)として2006年9月まで地域金融機関として使われてきました。豊川信用金庫撤退後、地元企業によって再利用が決定、現在は喫茶・ギャラリー「鳳来館」として再利用されています[2]。喫茶店は月曜定休。国登録有形文化財。
【URL】http://yusho-agata.com/houraikan/
◆ミニコラム◆ むかしは浜松連絡の拠点だった
今でこそ列車の発着時以外はひっそりしている三河大野駅ですが、鳳来寺鉄道時代には、本文で記したとおり鉄道会社直営の旅館が設けられていました。これは、三河大野と浜松を結ぶ国鉄バスがあり、バス路線沿線の利用客が多かったためといいます。現在ではこのような便はなく、本長篠から田沢まで新城市営バス、ここから遠州鉄道バスに乗り換えて浜松に行くことは可能ですが、こういった乗り継ぎをするのは、乗ることそのものが目的になっている人のみかもしれません。
さらに以前は、中山道の脇往還である伊那街道の宿場町、大野宿として栄えた街でもあります。この駅で途中下車をする際には、そんな歴史的経緯を頭の片隅に入れておくと楽しめるでしょう。
2009年9月18日