田切駅

田切駅ホーム

【写真1】田切駅ホームに侵入する上り電車。《2007年7月28日撮影》

国道153号線が大きくΩ型カーブを描いている上をオーバークロスすると、築堤上に片面ホームのみの田切に到着します。周囲の土地よりも高いところにあるため、天竜川方面や中央アルプスをホームから望むことができます。狭いホーム上にはプレハブの簡素な待合室があります。

地上からは、階段でホームに上る形になっています。地上側には明確な駅名表示はなく、事前に確認していなければそう簡単には駅への入口はわからないでしょう。駅の東側には水田が広がり、集落は西側に形成されています。

かつての田切駅は現在よりも200mほど辰野方にありましたが、急カーブ上のため乗降に支障があったため、1984年に移転しました。旧駅は切り通しの途中にあり、現在は石碑が建っています。

 

停車列車 [2009年5月現在]

快速「みすず」は通過します。

駅名の由来

田切地形からきたものです。詳細は、ミニコラムを参照のこと。

歴史

伊那電気鉄道開通の際に設置されました。

なお、鉄道開通時には、飯島と田切の間に伊那赤坂停留場が設置されましたが、国有化時に廃止されています。

周辺の見どころ

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◆ミニコラム◆ Ωカーブをつくる田切地形

天竜峡以北の飯田線は、一貫して天竜川の右岸(西側)を走っています。この天竜川が形成した河岸段丘の勾配を避けるため、飯田線はカーブの多い路線になっていませんが、地図をよく見ると、木曽山脈から流れてくる川を横断するとき、山側に向かって大きくΩカーブを描くところが多くなっています。これは、伊那谷に多く見られる田切地形のためです。

田切地形とは、山脈から流れ出る河川の浸食作用が大きく、下流に形成されている堅い土地を削った結果、深い切れ込みを生じ、河川の周囲のみが凹地となる地形を指します。この場合、地図上の等高線は山側(上流側)へV字状にゆがむ形を見せます。また、上流のほうが谷の幅は狭く、凹地を横断しやすくなります。このため、田切地形の多い伊那谷に敷設された伊那電気鉄道は、木曽山脈を発する川を渡るときには、上流へ迂回するルートを取ることが多くなったのです。資金と技術があれば、もちろん橋脚などでショートカットできますが、辰野から少しずつ延伸していった地方私鉄には、無理な相談でした。

田切の名称は、田切駅周辺の地名になっているほか、上片桐などもこれに基づく地名です。同様の地形は日本の他の地域にもありますが、飯田線を地図で追うのがいちばんわかりやすいでしょう。

2009年10月4日

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