湯の山線の電車は、桜を過ぎると四日市市から菰野町に入り、それとともに四日市のベッドタウンらしさが希薄になっていきます。巡見街道(国道477号線)沿いに住宅が多く集まるようになると、ほどなく菰野駅に到着します。
相対式ホーム2面2線から成る地平駅です。構内は広く、四日市方面からこの菰野で折り返すことも可能な配線になっていますが、湯の山線の一部区間運転列車が走らなくなって久しく、現在では単なる留置線になっているようです。
駅本屋は北側にあり、北側の片面ホームが上り、構内踏切を渡った先にある島式ホームが下りになっています。
片面ホームには、改札内に大きめの待合室が設けられています。また、古くから使われている、据え付けの木製のベンチがどんと置かれています。
島式ホームは内側のみが営業線として使われており、外側は湯の山温泉方に車寄せが置かれ、折り返し専用となっています。なお、島式ホームは片面ホームと比べてかなり狭く、湯の山線で特急が運行されていた当時は、かなり速度を落としていたものと思われます。
なお、ホーム上屋のかなりの部分は、鉄パイプにビニル幕を張った簡易なものになっています。
駅舎はコンパクトな木造モルタルのもので、近鉄各駅で見られるオーソドックスなスタイルです。駅構内の広さに比較すると小ぶりではありますが、そう多くの要員が必要だったわけでもないということで、これは私鉄ならではとみてよいのでしょう。玄関正面には階段があり、脇にはスロープが設けられていますが、このスロープは改札内につながる形状になっており、きっぷ売り場に出入りすることはできません。
なお新聞報道によると、2012年度中に湯の山線中間駅の大半が無人化される予定で、菰野駅もその中に入っています[1]。
駅前には広場が設けられており、商店や事務所などが並び、路線バスやタクシーが発着しています。やはり桜までの各駅とは異なり、菰野という独立した地域の玄関駅らしい雰囲気があります。ただし、菰野の経済的な中心地区は、駅より東側の国道沿いになっており、駅前が特に賑わっているというわけではないようです。
乗り場
北側(駅本屋側)から順に、1番線、2番線となります。
- 1.湯の山線上り 近鉄四日市方面
- 2.湯の山線下り 湯の山温泉方面
駅名の由来
菰野の名称は、この地にマコモ(真菰・真薦=イネ科の大形多年草)やクサヨモギなどが生い茂る原野が広がっていたそうです。そこを切り開いて村づくりがはじめられたこと
[2]によると言われます。
歴史
四日市鉄道として開通した際に設置された駅です。
- 【1913年6月1日】 四日市鉄道の川島村(現、伊勢川島)-湯ノ山(現、湯の山温泉)間が開業した際に、菰野駅開業。
- 【1931年3月18日】 四日市鉄道が三重鉄道に合併、三重鉄道の駅となります。
- 【1944年2月11日】 三重鉄道が三重交通に合併、三重交通の駅となります。
- 【1964年2月11日】 三重鉄道の鉄道部門が三重電気鉄道として分社化、三重電気鉄道の駅となります。
- 【1965年4月1日】 三重電気鉄道が近鉄に合併、近鉄湯の山線の駅となります。
周辺の見どころ
確認中。
- 「6駅無人化を計画 近鉄湯の山線 今年度中」朝日新聞・三重、2012年10月27日。
- 菰野町公式Webサイトによる。