広い構内が分岐駅の名残を示す

吉良吉田

きらよしだ
Kirayoshida
吉良吉田駅
▲吉良吉田駅駅舎《1994年3月3日撮影》
吉良吉田駅ホームを改札側から望む
【写真1】吉良吉田駅ホームを改札側から望む。《2008年1月27日撮影》

西尾線(新安城-吉良吉田)と蒲郡線(吉良吉田-蒲郡)の接続駅です。一時期、両線の運転系統が西尾で分かれ、西尾-蒲郡間での列車運行が行われており、このときは実質的に中間駅になっていましたが、現在では西尾線ホームと蒲郡線ホームは完全に分離されています。

吉良吉田駅西尾線ホーム
【写真2】吉良吉田駅西尾線ホーム。《2008年1月27日撮影》

西尾線乗り場は、相対式ホーム2面2線が設けられており、大きなカーブを描いていますが、これは西尾線と蒲郡線という別々の路線をひとつにまとめたことによるものです。両ホームの間は構内踏切で行き来することができますが、西尾線と蒲郡線の運行系統が分離されたことから、基本的には駅本屋側(【写真2】右側)のホームが使用されています。

吉良吉田駅駅舎内
【写真3】吉良吉田駅駅舎内(撮影当時は自動改札機未設置でした)。なお左側にはベンチが置かれています。《2008年1月27日撮影》

駅員が常駐している有人駅です。駅集中管理システムが導入された最後の駅(蒲郡線各駅および広見線末端区間各駅を除く)ですが、同システムが対応しているのは西尾線のみです。

駅舎は木造平屋建てのもので、青い色をした急傾斜の屋根が目を引きます。駅前は道路がカーブしており、駅舎と道路の間にスペースがあるため、列車発着時には送迎用一時駐車場と化します。

吉良吉田駅蒲郡線ホーム
【写真4】吉良吉田駅蒲郡線ホーム。《2011年8月16日撮影》

いっぽう、蒲郡線の乗り場は改札口を入って正面右側になります。こちらは改札口と並行の向きに相対式ホーム2面2線が設けられていますが、現在では駅本屋側の1面1線のみが使われており、反対側は留置線としてのみ利用され、一般利用者は向かい側のホームに移ることはできません。

旧三河線ホーム跡
【写真5】旧三河線ホーム跡。西尾/蒲郡線列車の留置線として使われているようで、現在もレールは光っていました。《2008年1月27日撮影》

蒲郡線のホームは、かつて吉良吉田から碧南へ走っていた、三河線のホーム跡地です。閑散区間ゆえ末期にはレールバスでの運行が細々と行われていましたが、2004年3月末かぎりで廃止。2008年1月に訪れた際には、ホームの入り口はロープが貼られており、立ち入りできなくなっていました。その後、西尾線と蒲郡線の運転系統がこの吉良吉田で分かれるようになった際に、再度このホームが日の目を見る形になったわけです。

蒲郡線乗り場と西尾線乗り場の間にある中間改札
【写真6】蒲郡線乗り場から西尾線乗り場への間には中間改札が設置されています。《2011年8月16日撮影》

蒲郡線には駅集中管理システムが導入されておらず、ここ吉良吉田以外には自動改札機を導入している駅もないことから、西尾線乗り場との間には中間改札が設けられています。これは、末端区間で駅集中管理システムを導入しないこととなった広見線の新可児駅と同様の措置で、ほかにも阪神武庫川駅などで見られるパターンです。

駅周辺はちょっとした集落になっており、古くからの個人商店が多く営業しています。

停車列車 [2011年12月現在]

西尾線には最近まで特急が乗り入れていましたが、現在は急行と準急が主で、いずれも西尾-吉良吉田間は各駅に停車します。蒲郡線は全便普通列車のみです。

乗り場

1番線は旧三河線乗り場に割り当てられており、三河線廃止後も番線には変更ありません。

駅名の由来

確認中。

歴史

吉良吉田駅は、旧三河線および蒲郡線(三河鉄道の系列)および西尾線(旧西尾鉄道の系列)の接続駅で、もともと別々の駅としてスタートしました。

三河鉄道が、のちの三河線にあたる神谷(のちの松木島、現在は廃止)-三河吉田を開通させた1928年8月に設置された駅で、当時は「三河吉田」と称しました(現在、当時の開通区間は廃止されています)。1年後の1929年8月11日には、のちの蒲郡線にあたる三河吉田-三河鳥羽が開通、中間駅となっています。

いっぽう西尾線は、西尾鉄道によって1915年8月5日に横須賀口(廃止)-(旧)吉良吉田が、1916年2月12日に(旧)吉良吉田-吉田港が開通しました。西尾鉄道は愛知電気鉄道西尾線となり、1928年10月1日には(旧)吉良吉田-吉田港が廃止されます。

1941年6月1日には、名古屋鉄道(1935年8月1日に愛知電気鉄道と名岐鉄道が合併して発足)が三河鉄道を合併し、三河線と西尾線が同一会社の駅となりますが、この時点では駅はまだ別々でした。その後、1943年2月1日に、西尾線の(旧)吉良吉田駅を三河線の三河吉田駅に統合、(旧)吉良吉田駅は廃止されます。戦後の1960年11月1日に(新)吉良吉田と駅名を変更し、現在に至っています。なお、碧南方面へ延びていた三河線は、1990年7月1日より電化を廃止してレールバスを導入するなど合理化が行われたものの営業実績は好転せず、2004年3月末かぎりで廃止されています。

周辺の見どころ

確認中。


  1. ここでは、現存する西尾線および蒲郡線に該当する区間が開業した路線ベースでの初営業日を採用。『駅名事典 第6版』中央書院、2000年では1928年8月25日開業。
  2. 『日本鉄道旅行地図帳 7 東海』2008年、新潮社、44ページ。

【西尾線】 新安城北安城南安城碧海古井堀内公園桜井南桜井米津桜町前西尾口西尾福地上横須賀吉良吉田

【蒲郡線】 吉良吉田三河鳥羽西幡豆東幡豆こどもの国西浦形原三河鹿島蒲郡競艇場前蒲郡

2008年2月6日、写真を追加の上加筆修正
2011年12月20日、写真を追加の上加筆修正

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