名鉄名古屋駅入口
▲名鉄名古屋駅入口《2008年1月26日撮影》

名鉄名古屋駅中央改札口

【写真1】名鉄名古屋駅中央改札口(入口専用)。自動改札機の上には、各方面への発車案内がモニタで表示されます。《2008年1月26日撮影》

名鉄の中央地下ターミナルである名鉄名古屋駅は、日本に数ある大都市ターミナルの中でも、最も変化に富み、かつ刺激的な駅といえます。

私鉄駅の多くは、ターミナルでは頭端式を採用しており、ターミナルが始発駅になっています。地下鉄などとの相互直通運転が一般化した結果中間駅スタイルのターミナルも増えてきましたが、その場合は路線の系統が単純なのが前提で、多種多様な系統の便が次々に駅に入ってくるなどということはありません。JRであれば、複数の系統をひとつの駅でさばくことも珍しくありませんが、JRの駅はスペースに余力があり、ある程度ホームを分けて対処しています。しかし、この名鉄名古屋駅のすごいところは、多様な系統の便を、なんと3面2線のみで折り返し線さえないという設備で処理していることにあります。

名鉄名古屋駅は、JR名古屋駅桜通口側駅前広場の直下にあり、西側からJR、近鉄、名鉄、市営地下鉄東山線がひしめきあっています。名古屋駅のホームは早くからつくられたこともあって比較的浅く、地上からのアクセスは悪くないのですが、地下スペースそのものが狭隘になっており拡幅が困難なため、狭いスペースで多くの列車と旅客をやりくりしています。

コンコースは地下1階にあり、それを取り囲むように5個所の改札口がありますが、このうち中央改札口は出口専用と入口専用に分かれています。出口専用と入口専用に分けるのは初期のターミナルでは見られたものの現在では珍しいものです。また、駅設備の規模に比べて改札口が多いのは、コンコース内での旅客の滞留を防ぐためでしょう。多様な方面から駅にアクセスできますが、その反面不慣れな利用者にとっては、どこへ進めば目的地に行けるのかがわかりにくく、地下ということもあって方向感覚がおかしくなりそうです。なお、列車の系統が複雑ということもあって、各改札の自動改札機上にはモニタが置かれ、列車の発車案内を随時掲示しており、これも名鉄名物といえるでしょう。

 

名鉄名古屋駅下りホーム

【写真2】名鉄名古屋駅下りホーム。点灯しているのは方面別の乗車位置案内表示。《2008年1月26日撮影》

改札内コンコースから下りると、2線に挟まれた島式ホームが降車ホーム兼特別車専用乗り場、外側にある2つの相対式ホームが一般の乗車用ホームとして使い分けられています。相対式ホームには、ホーム向かい側の天井近くに方面別の乗車位置案内表示が設置され、詳細な情報がLEDで流されるようになっています。乗車位置案内と列車情報を掲載するのは、ライバル関係にあたるJR名古屋駅でも見られますが、ここ名鉄名古屋駅で特異なのは、それぞれの方面ごとに乗車位置を少しずつずらしていること。この結果、例えば下り方面の場合、一宮・岐阜方面、犬山・新鵜沼方面、津島・佐屋方面などの乗車位置がみな異なっており、それぞれ違う場所に整列乗車をすることとなります。これによって、ターミナル駅で発生する列車待ちの行列を短縮しつつ、整列乗車を維持する仕組みです。狭いホームに旅客を分散して並ばせるのは、なかなかのアイデアでしょう。もっとも、行列を作ることができるのが先発のみで、同一系統の次発列車は先発列車の発車後でないと行列をつくることができず、このため短い間隔で同系統の列車が続く場合は、混乱しそうではあります。

またターミナル駅では、録音音声による自動案内が一般になっていますが、ここ名鉄名古屋では、基本的に肉声ベースでの案内になっています。列車ダイヤが非常にきめ細かくくまれているとはいえ、北側で岐阜・犬山・津島方面、南側で豊橋・空港・河和方面という各系統が入り乱れ、運転密度が高いいっぽうで金山-神宮前をのぞいて複々線区間はなく、歴史的な事情による単線区間や急カーブによる減速区間などもあって、いったん遅延が発生すると回復が非常に困難であることが背景にあります。

現在では列車がスルーするしかない名鉄名古屋駅ですが、かつては近鉄の名古屋駅とも線路がつながっており、名鉄沿線から伊勢や養老へ向かう直通列車が運行されていたこともありました。一応壁でふさがれているものの現在でも再接続は可能のようです(近鉄が軌間を変更したため直通運転は不可能ですが)。名鉄と近鉄の間には連絡改札があり、これはそのときの名残です。

このように狭いスペースを有効活用しているホームの端に立つと、ホームが波状にカーブしていることがわかります。これもあって、進入する列車はかなりゆっくりと入ってきます。そして、系統や種別の違う列車が次から次へと同じ乗り場に入ってくるのですから、鉄道ファンにはたまらない駅でしょう。特に車両に興味がなくても、ホーム端に陣取っていれば、いつまでたっても飽きません。

駅の上には、名鉄バスなどが発着する大規模なバスターミナル「名鉄バスセンター」があります。国内では、福岡天神などとともに有数の規模をもつバスターミナルで、ホームドアを備えた乗り場にはバス待ちの長い行列ができます。

 

停車列車 [2010年3月現在]

すべての列車が停車します。運行系統が非常に複雑なので、掲載は省略します。

乗り場

西から順に、1番線、2番線…となります。なお、1番線と2番線、3番線と4番線は同じ線路で、2番線と3番線は同一ホームの反対側です。

駅名の由来

特記事項なし。

歴史

庄内川以北が名岐鉄道、神宮前以南が愛知電気鉄道で、この両者を結ぶ連絡線の中核駅として設けられました。当初からの地下駅で、開業した1941年8月はすでに戦時体制に入っており、当初計画されていた百貨店併設は見送られています。

周辺の見どころ

確認中。

その他

《乗り換え》JR東海-東海道本線ほか:名古屋近鉄名古屋名古屋市-東山線ほか:名古屋

2010年3月16日、写真を追加のうえ加筆修正

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