撮影に使用しているカメラ(4):Nikon F3
現在でも利用しているフィルム一眼レフカメラはいくつかありますが、どちらかといえばモノクロ専用機に近い形で使っているNikon Fが中心で、それ以外は機械部分の稼働を保たせるために維持しているような感じになっています。それでも、たまに使うと、機械を触っているという妙なワクワク感を覚えるのだから、不思議なもの。そういうカメラのひとつが「Nikon F3」、1980年3月発売です。
シャッター速度はクオーツ制御で、ニコンF一桁機で初の電子制御シャッター機として注目を浴びましたが、むしろ機械部分の堅牢さによる高い信頼感こそが、F3の最大の魅力でしょう。それでいて、ジョルジェット・ジウジアーロのデザインを採用し、黒ベースに赤いアクセントという、その後のニコンデザインの標準となった感もあります。当時としては非常に洗練された外観で、もともと無骨さが強かったキヤノンとの差がさらに大きくなったようにも思えます。その後、あっという間に「スタイリッシュなキヤノン、無骨なニコン」に逆転してしまったのですから、面白いものですが。
スピードライト装着用のホットシューが独自設計(これはF、F2も同様)、シャッターボタンの位置が微妙(グリップの浅さでカバー可能)、ファインダー内表示が針式でなく直感的にわかりにくい、などの課題はあるものの、このカメラならではの安心感というものが、確かにあります。乾電池も、SR44またはLR44と、簡単に入手できるため、どこでも使えます。極寒環境でないかぎり、かなり手荒に扱っても、どこでも大丈夫。そんな感じを受けます。
このF3は、20年以上の長期にわたって生産され、後継のF4が出ても平行して生産が続き、それどころかF5発売に伴ってF4が販売中止になっても、なお生産が継続されました。このため、生産時期によって機体の差がかなりあるようで、中古品を入手する場合には慎重に見極める必要があるとのこと。なお、2016年6月28日現在、ニコンの「修理部品保有製品一覧表」を見ると、まだF3はしっかり残っています。そろそろ、最後になるだろうオーバーホールを依頼しようかな、と考え中。