本州の西の端に位置するターミナル駅です。線路名称上では山陽本線の中間駅ですが(山陽本線の西端は関門トンネルをこえた門司駅)、JR西日本とJR九州の境界駅で、両社の列車が顔を合わせるため、にぎやかです。もっとも、この駅に停車する優等列車はごく少なくなっており、短編成の普通列車(快速等含む)ばかりが発着しているのが現状で、立派な長大ホームには役不足としか語れないのが実のところです。
国際航路の拠点と位置づけられていた時期があったほか、関門トンネルに入る手前で機関車の付け替えなどの作業が伴うこともあって、運転上重要な駅でした。このために構内は非常に広く、旅客線だけで3面6線という、都市の規模に比較して非常に豪華な駅になっています。ホームは高架上にあり、北端にある階段から地平上のコンコースに下りる形になっています。改札口には自動改札機が導入されており、ゲートには名産とされるふくの絵が描かれています。
ホームは南北に長くなっていますが、それ以外の旅客スペースは東西に延びており、東西に出口が設けられています。このうち東口がメインの出口で、駅前から延びるペデストリアンデッキを通じて大規模商業施設「シーモール」などが隣接しています。改札付近から通路を進むと北口もありますが、こちらは裏口といった雰囲気で、ひっそりしています。
東口には、東京の国立駅を連想させるような三角屋根をいただく玄関をトレードマークとする駅舎があり、ここから改札へいたる通路には、高い天井がそのまま延び、明かり取りが開放感を演出するつくりになっていました。これは、1942年に関門トンネルが開業した際に竣工した駅舎で、対岸の門司港とは異なり、中間駅であることを前提とする設計になっていました。コンコースには飲食店や土産物屋などが軒を連ねており、ちょっとした商店街を形成していました。しかし、これらの施設は、2006年1月7日未明の放火による火災により壊滅的な被害を受け、特に東口の玄関付近は完全にその姿を消してしまいました。
東口の巨大なペデストリアンデッキは、駅へ向かう人の流れを無理に2階に移動させている観があり、アンバランスな観が否めません。2005年12月現在、下関市が中心となって駅舎を改築し、東口に新しい「開発ビル」をつくるという予定が発表されています。しかし、その口実が下関駅舎の老朽化というより、駅前のペデストリアンデッキを生かすための改築に思えるのは、私だけでしょうか。もとより、改札口周辺こそ残っているものの、東口付近の焼失によって、改築ならぬ新築が必須となってしまいましたが。
下関市は山口県で最大の人口を擁する自治体ですが、経済圏としては北九州側に近く、大きな買い物などは海峡を通って小倉に行く人が多いといいます。このため、徳山・広島方面よりも、門司・小倉方面へ向かう列車のほうが多く設定されています。
名産としてふくが名高く、これを受けて、冬季限定の駅弁「ふくめし」が人気を博しています。ふくの身は小さいながら、ふくの顔を用いた容器の蓋がユーモラス。