御坊は、紀勢本線の中核駅のひとつです。特急列車が停車するほか、普通列車は多くがこの御坊を境界として運転系統が分かれます。また、御坊以南では普通列車のワンマン運転が行われています。
御坊の駅舎は白のタイルを基調とした明るい印象を与えるもので、弁当箱のふたを連想させる屋根に特徴があります。「みどりの窓口」があるほか売店も営業しており、また駅舎脇では駅弁が販売されています。自動改札機は導入されていません。
駅前にはゆったりした駅前広場が整備されており、広いスペースには駐車場が整備されています。これは、御坊駅が御坊市の中心街から離れているためになされたものでしょう。西紀勢線(現在の紀勢本線)が御坊の街中に入らなかったのは、日高川への架橋技術の問題に起因するとされていますが、当時の御坊町が憲政会の地盤であったため、政友会政権が御坊経由を認めなかったという説もあります[1]。
駅ホームは2面3線が基本となっており、駅本屋と島式ホームの間は跨線橋で連絡しています。このほか、駅本屋側ホームの和歌山方には切り欠けがなされ、ここに紀州鉄道の列車が発着します(中間改札なし)。また、駅本屋と反対側には側線が広がっています。
前述のとおり、JR御坊駅は御坊市の中心街から離れています(中心街は紀州鉄道の紀伊御坊駅付近)。ただし御坊市中心街の衰微が著しい一方、JR御坊駅から西にかけての一帯は開発がぼつぼつ進んでいるように見受けられました。駅近くには、県立紀央館高校(旧・御坊商工高校)があります。
南側(駅本屋側)から順に、1番線、2番線、3番線となるほか、1番線の西側に、切り欠け式ホームの0番線があります。
駅名の由来
駅開業時、御坊町(当時)の玄関口として命名されたものです。御坊の名は、1595年にこの地に再建された日高御坊(現在の本願寺日高別院)の名に基づき、御坊はその寺内町として発展しました。
歴史
紀勢西線が紀伊由良から延長された1929年4月21日に設置された駅です。当初は暫定終着駅でしたが、1930年12月14日に印南まで延長されました。開業当初から一般駅でしたが、1984年1月末かぎりで貨物営業を廃止しています。
- 1929年4月21日
- 開業。
- 紀州鉄道社史編さん委員会「紀州鉄道50年のあゆみ」『鉄道ピクトリアル』No.355(1978年12月号)電気車研究会、64ページ。