千鳥式ホームに跨線橋
【写真1】美深駅ホーム。《1999年12月16日撮影》
美深町の玄関口に位置する駅で、すべての特急列車が停車します。
相対式2面2線ですが、列車の停車位置は上下でずれており、事実上千鳥式となっています。ホームや跨線橋は古いものが使われていますが、駅舎は鉄筋2階建ての立派なものになっています。駅はバスターミナルを兼ねており「美深町交通ターミナル」と称しています。
駅の前に市街地が升目上の区画で形成されており、町役場もほど近いところにあります。駅を遠巻きにするように水田が見られますが、この美深は日本の米作の北限となっています。
この美深から仁宇府まで延びていた美幸線は、1964年10月5日に開業しました。そのきれいな字面とは裏腹に悲惨な営業状態の赤字ローカル線で、増収のために当時の美深町長が銀座できっぷを販売して“日本一の赤字線”をアピールしたことで有名になりました。駅にある「美幸の鐘」は、そこからきているのでしょう。オホーツク海沿岸の北見枝幸までの延長を目指しており、路盤工事はほぼ完成していたものの、国鉄再建法施行により工事が凍結されたうえ、ご多分に漏れず第1次特定地方交通線に指定されました。地元は活発な反対運動を展開したが、道内の第1次線としては最後の1985年9月16日かぎりで全線廃止。20年弱の命でした。