近鉄路線の一大結節点

大和西大寺

やまとさいだいじ Yamatosaidaiji
大和西大寺駅
▲大和西大寺駅北口《2008年2月10日撮影》

 

大和西大寺駅コンコース(改札内)
【写真1】大和西大寺駅コンコース(改札内)。《2008年2月10日撮影》

奈良線、京都線、橿原線の3線が一同に介する駅です。大和八木、橿原神宮前とともに、奈良県内における近鉄の一大要衝となっていますが、後2駅と比較しても、乗換駅としての色合いがより濃厚です。

奈良線が東西に走り、北西側から京都線、南東側から橿原線が合流するという、X形の路線配置をしているため、柔軟な運行が可能になっています。駅の南東側には近鉄の車両基地があるため、大和西大寺発着の列車も多く設定されています。もっとも、時刻表上では大和西大寺止まりとなっていても、そのまま別の路線の列車に引き続き充当されるケース(奈良線下りの「大和西大寺止まり」が、そのまま橿原線下りの「橿原神宮前行き」に化ける、など)もあります。

島式ホーム3面6線が地平に設置されており、2階にコンコースが設けられています。改札内コンコースには飲食店や売店などが多数出店しています。駅周辺の商店街の規模はさほど大きいものではないことと対照的で、この駅での乗り換え客が多いことを示しています。現在、駅舎の改造工事が行われていますが(2010年3月完成予定)、これに伴い、コンコースそのものがショッピングモールと化することとなり、駅ナカの拡充がさらに進むと思われます。

 

大和西大寺駅南口
【写真2】大和西大寺駅南口。《2008年2月10日撮影》

北口と南口の2つの出口があります。北口がメイン出口で、駅の北側地平に設けられており、各ホームとの間は、上述のコンコースまたは地下道を通って連絡しています。北口前にはロータリーが整備され路線バスが発着しているほか、ビルが建ち並んでおり、商業地域となっています。平城宮跡や佐紀・佐保路方面へは、こちらが便利です。

いっぽうの南口は、2階のコンコース南側に設けられています。南口には個人商店が多く立地しているほか、古くからの住宅街が広がっています。駅名のもととなっている西大寺には、こちらが便利です。

規模の大きい駅であるいっぽう、北口と南口の改札口はそれぞれまったく別になっており、南側の改札を出て北口に出ること、あるいはその逆はできません。また、事実上橋上駅舎に近い形状であるにもかかわらず、南北自由通路も設けられていません。

このため、それでなくとも列車の発着頻度が高い駅前後で混雑が激しい踏切は、いつもごった返しています。周辺道路の幅員が狭く、歩道も未整備なものが多いだけに、駅周辺の歩行には注意が必要です。

 

大和西大寺駅ホーム
【写真3】大和西大寺駅ホーム。《2008年2月10日撮影》

各線が平面交差しているため、周辺道路の渋滞やダイヤの不安定(遅延の慢性化)といった問題があり、かなり以前から高架化の要望がありますが、用地が狭小であること、運転本数が多く工事期間中の輸送が困難であること、周辺に重要な遺跡が多く大規模な工事が難しいことなどの諸事情があり、平面交差が解消できるめどはたっていません。鉄道ファンにとっては、多種多様な方向からさまざまな系統の列車がポイントを通過するのを眺めるのはたいへんに興味深いのですが、近鉄にとっては「魔の区間」ともいえましょう。

停車列車 [2008年8月現在]

奈良線、京都線、橿原線の各路線の全列車が停車します。

奈良線

京都線

橿原線

乗り場

運転系統が非常に複雑なので、例外も多いと思われますが、おおむね以下のようになっています。

  • 1.奈良線 奈良方面/橿原線 大和八木、橿原神宮前方面
  • 2.奈良線 奈良方面/橿原線 大和八木、橿原神宮前方面
  • 3.奈良線 生駒、布施方面/京都線 近鉄丹波橋、京都方面
  • 4.奈良線 生駒、布施方面/京都線 近鉄丹波橋、京都方面
  • 5.奈良線 生駒、布施方面/京都線 近鉄丹波橋、京都方面
  • 6.奈良線 生駒、布施方面/橿原線 大和八木、橿原神宮前方面

駅名の由来

特記事項なし。

歴史

大阪電気軌道開業当時からの駅です。

1914年4月30日
大阪電気軌道が上本町-奈良(仮駅)を開通させた際に、「西大寺」駅開業。
1921年4月1日
大阪電気軌道により、畝傍線(西大寺-郡山(現在の近鉄郡山))が開通、分岐駅となります。
1928年11月3日
奈良電気鉄道が桃山御陵前-西大寺を開通させます。
1941年3月15日
大阪電気軌道と参宮急行電鉄が合併して関西急行鉄道が成立したのにあわせ、「大和西大寺」と改称します。なお、奈良電気鉄道の駅名も同じ「大和西大寺」と改称されています。
1963年10月1日
奈良電気鉄道が近畿日本鉄道に合併され、近鉄の単独駅となります。

周辺の見どころ

西大寺

駅から南西へ、徒歩3分。天平時代末期、称徳天皇によって発願された寺院で、真言律宗の総本山です。かつては東大寺と並ぶ奈良最大の寺院として巨大な伽藍を擁したといわれますが、平安時代に衰退し、現在の西大寺は鎌倉時代に復興されたものです。本堂は江戸時代に再建されたもので、国の重要文化財に指定されています。このほか、平安~鎌倉期の貴重な仏像を多数収蔵。直径30センチ以上の大茶碗で茶を振る舞う「大茶盛」が有名ですが、ひとりではこぼさずに茶を口に入れるのが精一杯で、味などとうていわかりませんでしたが、いちどは話の種に経験してみるのもおもしろいかと。本堂拝観料400円。

平城宮跡資料館

駅から東へ、徒歩10分。特別史跡である平城宮跡の西側に設けられている、奈良文化財研究所の付属施設です。広大な平城宮跡の発掘現場や史料などを展示した資料館で、多くの模型や出土品、写真などを見ることができます。ここから歴史公園として整備されている平城宮跡を歩くと、時間を忘れてゆったりした気分になれます。ただし平城宮跡じたいには何もないので、夏は非常に暑く冬はまことに寒いので、その点はご注意を。資料館観覧無料、月休。

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