東西と南北の幹線が交差する駅

大和八木

やまとやぎ Yamatoyagi
大和八木駅
▲大和八木駅北口《2008年2月9日撮影》

 

大和八木駅南口
【写真1】大和八木駅南口。《2008年2月9日撮影》

大和盆地を東西に走る大阪線と、南北に走る橿原線が交差する地点に設けられている駅です。橿原市の中心部付近に位置しており、事実上橿原市の玄関駅といえます。ただし、大和八木駅の所在地は内膳町で、橿原市八木町にあるのは八木西口駅です(この背景については「歴史」欄で記述)。車内アナウンスなどでは単に「八木」とのみ呼ぶことが多く、一般的には「八木」だけで通用します。

大阪線の北側と南側、橿原線からみると東側に、それぞれロータリーを備えた駅前広場が設けられており、路線バスやタクシーが発着しています。

北口にはちょっとした公園的な広場が整備されており、そこに時計台が立っています。このほか、大きな八咫烏が存在を誇示していますが、橿原のシンボルにしてしまうほど卑小な存在に成り下がったと見るべきなのか、はたまた市民にとって身近な尊崇対象になっていると見るべきなのか。少し離れたところには近鉄百貨店など、店舗や飲食店が集まっています。

いっぽう南口は、駅前広場が広くロータリーの規模も大きく、周辺の道路も広いために自動車の出入りが容易ですが、いつ訪れてもあちらこちらを工事しているように見えるのは気のせいでしょうか。橿原市役所など官公庁の多くも、こちらに立地しています。

 

大和八木駅改札より橿原線ホームを望む
【写真2】大和八木駅改札より橿原線ホームを望む。橿原線ホームは地平にあります。《2008年2月9日撮影》

非常に規模の大きい駅で、高架下には名店街が入り飲食店などのテナントも入っていますが、意外なことに改札口は、南北自由通路を兼ねたコンコースに設けられている1個所しかありません。しかも、改札口を入ってすぐのスペースが乗り換え移動の動線とみごとに重なっているため、列車が到着すると改札口は大都市の乗換駅並みの混雑になります。

橿原線ホームは地平にあり、相対式ホーム2面2線から成っています。このうち橿原神宮前方面行きホームには、この改札口を出てそのまま乗り込むことが可能です。なお、大和西大寺方面行きホームには、両ホーム間を結ぶ連絡通路を通って行き来します。

 

大和八木駅大阪線ホーム
【写真3】大和八木駅大阪線ホーム。こちらは高架上にあります。《2008年2月9日撮影》

いっぽうの大阪線ホームは、高架上に島式ホーム2面2線が設けられており、緩急接続が可能になっています。各島式ホームは、橿原線の両ホームと階段で連絡していますが、大阪線ホームにはいまだにエレベータが設置されていないというのはいかがなものでしょうか(近鉄の駅構内図には、わざわざ「大阪線ホームにはエレベーターは設置されておりません」と書いてあります))。バリアフリーに関する行政指針を抜きにしても、乗降および乗り換えの需要が大きく、また長距離利用者すなわち荷物の多い利用者が見込まれる駅であることを考えれば、早急な整備が求められます。

大阪線と橿原線は立体交差していますが、大阪線の大阪方から北西側へ分岐する連絡線があり、これが新ノ口駅で橿原線に合流しています。京都から伊勢方面へ向かう特急列車などは、この連絡線を通ります。このほか、八木西口駅から大阪方面へ向かう連絡線もありますが、これはかつて高田(現在の大和高田)-八木(現在の八木西口)が開通した際の路線の一部で、長らくこちらが連絡線として利用されてきましたが、京都方面と伊勢方面を直通するには2回の方向転換を余儀なくされるため、新ノ口からの新連絡線が設置されたものです。

停車列車 [2008年8月現在]

大阪線の一部特急列車(名阪ノンストップ、阪伊ノンストップ)が通過しますが、他の列車はすべて停車します。

大阪線

特急の停車駅は便によってやや異なります。

橿原線

乗り場

大阪線が1~4番線、橿原線が5番および6番線です。

  • 1.大阪線 名張、伊勢中川方面(外側)
  • 2.大阪線 名張、伊勢中川方面(内側)
  • 3.大阪線 大和高田、上本町方面(内側)
  • 4.大阪線 大和高田、上本町方面(外側)
  • 5.橿原線 橿原神宮前方面
  • 6.橿原線 平端、大和西大寺方面

駅名の由来

確認中。

歴史

大和八木駅周辺の歴史の変動は大きいのですが、すべて大阪電気軌道によって敷設された路線とその駅から成っています。基本的には、当初の八木駅は現在の八木西口の位置にあり、南北方向と東西方向が立体交差するようになった際に現在位置に移転、旧八木駅は八木西口となった、という点を把握していただければと思います。

1923年3月21日
大阪電気軌道が平端-橿原神宮前を開通させた際に設置されました。当時の駅は単に「八木」といい、現在の大和八木駅の位置にありました。
1925年3月21日
大阪電気軌道によって高田-八木が開通しました。
1929年1月5日
大阪電気軌道によって八木-桜井が開通、これに伴い八木駅は移転のうえ「大軌八木」と改称、旧駅は八木西口駅となります。ただし八木西口駅は公式には大軌八木駅構内の別ホームとされ、この扱いは現在まで継続しています。
1941年3月15日
関西急行電鉄の成立に伴い、大軌八木が「大和八木」と改称されます。
1967年12月20日
大阪線と橿原線を結ぶ連絡線が開通します。

周辺の見どころ

今井町

駅から南西へ、徒歩12分。八木西口を参照のこと。

人麿神社

駅から西へ、徒歩12分。田園地帯の中に小さな森があるという風情で、社名のとおり歌聖、柿本人麻呂を祀った神社です。本殿は檜皮葺、春日造のきれいな建造物で、国指定重要文化財となっています。例年3月に行われる「すみつけ祭り」が有名。拝観自由。

耳成山

駅から北東へ、徒歩15分。畝傍山、天香具山とともに大和三山と称される小山で、標高は三山でもっとも低い139.7メートル。山全体が木々に覆われているために夏季には虫がたいへんに多く、山頂からの眺望はまったく期待できないのでご注意を。散策自由。

特記事項

八木西口駅との関係

「歴史」欄で触れたとおり、八木駅はもともと現在の八木西口駅の位置に設置され、今の立体交差ができた際に現在位置に移転、旧駅は「八木西口」となりました。しかし、八木西口はあくまでも「大和八木」という駅の構内に設けられている別ホームというのが営業上の取り扱いになっています。すなわち、八木西口に停車する橿原線の列車は、公式には「大和八木駅の別の乗り場に2回停車する」ということになります。

このため、近鉄線各駅から大和八木までの乗車券類を所有していれば、八木西口まで追加料金なしで乗車できます。さらに、同一構内扱いであることから、例えば「大和高田-大和八木-桜井」という乗車券類を所有していれば、大和八木-八木西口を追加料金なしに乗車でき、前途放棄として八木西口で下車することも可能、定期乗車券など途中下車が可能である場合は八木西口で降りることもできます。

なお、同一構内であることから、入場券も一応共用できるはずですが、入場券では旅客車内に立ち入ることができないため、大和八木-八木西口の相互利用の場合は、最低運賃の乗車券を販売することで運用しているようです。

このように、同一構内に別の名称を冠したホーム(利用者側から見れば別の駅)があるというケースは、かつては国鉄小松島線の小松島港駅(小松島駅の構内扱い)などの例がありましたが、現在ではこの大和八木および八木西口以外に例がありません。

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