島式ホーム1面2線から成る駅で、駅の東側に、開業当初からほとんど変わっていないと思われる、古色蒼然たる小さな駅舎ががんばっています。駅のホームと改札の間は跨線橋で結ばれており、西側への出口は設けられてません。
駅舎はオーソドックスな切妻屋根で、建築物として特に見るべきものがるというわけではありません。しかし、黒い板張りに瓦屋根というスタイルが残っているほか、新建材などによる補修がほとんど見られず、建造された当時の原型を忠実に留めています。老朽化は否めないものの、非常にていねいに扱われているようで、壁面やガラスなどもきれいなものです。古い木造駅舎はえてして荒れがちなものですが、地元の利用者による清掃が行き届いているようです。駅前の植え込みもきれいに管理されており、好感が持てます。1920年代の小規模建造物がそのままの姿で残っているケースはもはやほとんどない現状では、往時の標準形を忠実に示す貴重な存在となっています。
もともと小さい駅だったためか、手荷物扱い窓口が外側に向かっています。そのすぐ脇に、東武鉄道開業の記念碑が建っていますが、こういった石碑が東武各駅に数多く現存しているのは、沿線の風土によるものなのか、はたまた会社が再開発等による取り壊しをもとめない鷹揚な姿勢を示しているのか。
駅舎の屋根は二段構えとなっており、駅事務室や改札などのメイン部分は高く、駅員の詰所となっている部分は低くなっています。後者には窓が小さく桟が仰々しく並んでいるのが、建設された当初想定されている役割を語っているといえます。
旅客のスペースはごく限られており、雨をしのぐが精一杯ですが、すべてが木で構成された出札窓口を見ると、昭和初期にタイムスリップしたような錯覚に陥ります。下の写真の左手、すなわち改札の裏側には、オレンジ色の乗車駅証明書発行機がデンと置いてあるのですが、無粋もいいところ。
駅周辺は民家が点在していますが、駅から東に離れた国道沿いに家が多いようで、少し離れたところから自転車で、あるいは自家用車の送迎でこの駅を利用する人が多いようです。駅の西側には大きなゴルフ場が広がっていますが、この駅でゴルフバックをかついで降りていく人はほとんどいないでしょう。