日本有数の水産都市の玄関駅

石巻

いしのまき Ishinomaki
石巻駅
▲石巻駅駅舎《2016年3月27日撮影》

2つの駅が統合

石巻駅石巻線乗り場(奥は小牛田方)
【写真1】石巻駅石巻線乗り場(奥は小牛田方)。《2016年3月27日撮影》

石巻線は旧北上川に沿って南下していき、これに仙石線の線路が並行する形になって、ほどなく石巻駅となります。

石巻線の石巻駅と仙石線の石巻駅はかつて離れた場所にあり、両者の間を行き来するにはいったん改札口を出て乗り換える必要がありました。これは、国有鉄道石巻線の石巻駅が開業していた後に、仙台から延伸された宮城電気鉄道の石巻駅が別途設置され、戦時中に宮城電気鉄道が国有化された後も、鉄道の駅は別々のままになっており、石巻線の駅は「汽車駅」、仙石線の駅は「電車駅」と呼ばれました。貨物輸送の都合もあって両者の線路は連絡線を介していたものの、不便な状態が長らく続いていましたが、JR化後の1990年7月に仙石線が「汽車駅」に乗り入れ、駅が統合しました。「電車駅」の跡地は、石巻市立病院の敷地の一部になっています。

仙石線乗り場は頭端式

石巻駅仙石線乗り場(奥はあおば通方)
【写真2】石巻駅仙石線乗り場(奥はあおば通方)。《2016年3月27日撮影》

上のような経緯があるため、石巻線は2面3線という国鉄標準型の配線になっている一方、仙石線は頭端式1面2線の終着駅スタイルとなっています。仙石線が電化、石巻線が非電化であり、石巻線に電化の予定がなく、直通列車を想定しなかったためですが、貨物列車用の渡り線が小牛田・あおば通方に設けられています。2016年8月に運転を開始した女川直通の「仙石東北ライン」列車も、この渡り線を利用しています。

なお、仙石線乗り場のうち1番線が「仙石東北ライン」、すなわち気動車用のホームになっていますが、電化設備はそのままになっています。

アニメキャラが駅構内に

「仮面ライダー」などキャラクター
【写真3】「仮面ライダー」などキャラクター。《2016年3月27日撮影》

石巻は、漫画家・石ノ森章太郎の名を冠した「石ノ森萬画館」が立地しており、市内にある「マンガロード」に出ずとも、駅構内にいきなり石ノ森作品のキャラクターが登場します。【写真3】は「仮面ライダー」と「サイボーグ009」でしょうか(漫画やアニメには詳しくないので、違っていればご指摘ください)。

有人改札は自動改札機とは別の区画に

石巻駅改札口
【写真4】石巻駅改札口。《2016年3月27日撮影》

改札口には自動改札機がずらりと並んでいます。有人改札を利用する場合は、「びゅうぷらざ」「みどりの窓口」のあるカウンターを通ることになります。一見しただけではわかりにくいのですが、自動改札機を通れない乗車券類で入場する人はごく少数という判断なのでしょう。

駅舎内は比較的狭め

石巻駅駅舎内
【写真5】石巻駅駅舎内。《2016年3月27日撮影》

駅舎内の旅客用スペースはあまり広くありませんが、天井が高いため圧迫感はありません。比較的大きめのコンビニ「NEWDAYS」があり、土産物なども販売しています。なお、駅舎の仙石線側にはカフェが営業していますが、これは仙石線乗り入れ後に増築されたものと思われます。

駅舎にも石ノ森キャラが

石巻駅駅舎玄関
【写真6】石巻駅駅舎玄関。《2016年3月27日撮影》

駅舎の玄関には半円状のステンドグラスが設けられ、ここにも石ノ森キャラクターが踊っているほか、その上にもさまざまな人形が姿を見せています。すっかり「石ノ森駅」と化しているような印象を受けました。

駅舎自体は横長の大柄な木造平屋建のものですが、その正面に三角屋根を3つ設けており、このうち最も大きいところが玄関になっています。増改築を重ねているため正体不明にも見えますが、これでも1928年(昭和3年)築という年代物です。東日本大震災を生き抜いた駅舎ですが、耐震性などを理由にいつの間にか消えそうでもあります。

駅前には大きなロータリー

石巻駅駅前
【写真7】石巻駅駅前。《2016年3月27日撮影》

駅の正面に大きなロータリーがあり、その向かいに中心市街地が形成されています。私見ですが、かなり年季の入ったビルが多く建ち並んでいるという印象です。

駅の北側へ向かう出口はなく、女川方にある跨線橋で行き来することになります。

停車列車 [2017年8月現在]

全列車が停車します。なお、石巻線は全区間各駅停車のみの運行です。

仙石線

乗り場

仙石線は南側(駅本屋側)から順に2番線、1番線となり、石巻線は逆に3番線、4番線、5番線となっています。

  • 2.仙石線上り(普通) 松島海岸、あおば通方面
  • 1.仙石線下り(仙石東北ライン) 塩釜、仙台方面(女川方面直通列車は石巻線ホーム発着)
  • 3-5.石巻線

駅名の由来

石巻の地名は、日本書紀に出てくる「伊寺水門(いしみなと)」が転じたものという説が多く伝えられています。

歴史

詳細は確認中。

1912年10月28日
仙北軽便鉄道の小牛田-石巻間が開業、この際に石巻駅開業。
1919年4月1日
仙北軽便鉄道が国有化され、国有鉄道(内閣鉄道院)仙北軽便線の駅となります。
1928年11月22日
宮城電気鉄道の陸前小野-石巻間が開業、宮電石巻駅開業[1]開業。
1944年5月1日
宮城電気鉄道が国有化され、国有鉄道(運輸通信省)仙石線の駅となります。書類上は石巻線(←仙北軽便線)石巻駅に併合。
1971年11月29日
この日かぎりで貨物営業廃止。
1987年4月1日
国鉄の分割民営化に伴い、JR東日本の駅となります。
1990年7月21日
仙石線石巻駅が石巻線石巻駅に統合、単一駅となります。
2011年3月11日
東日本大震災が発生、石巻線および仙石線が全線で運休。
2011年5月19日
石巻線・前谷地-石巻間が復旧、運転再開。
2011年7月16日
仙石線・矢本-石巻間が復旧、運転再開(当初は気動車のみによる運行)。
2012年3月17日
石巻線・石巻-渡波間が復旧、運転再開。

周辺の見どころ

確認中。

その他

  • 「東北の駅百選」(国土交通省東北運輸局)選定駅。

◆ 訂正 ◆

  • 本文にて「石巻は、漫画家・石ノ森章太郎の出身地」と記しておりましたが、これは事実誤認であり、石ノ森章太郎は登米市の出身であるという指摘をいただきましたので、訂正いたします。(2018年5月11日)
  1. 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 II』では、開業当初の駅名が「石巻」、1932年1月8日に「宮電石巻」に改称としています(479ページ)。ここでは、和久田康雄『私鉄史ハンドブック』電気車研究会、1993年、32ページのとおり、全通当初に「宮電石巻」と名乗っていたということで記述します。

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