神戸電鉄

 神戸電鉄は、神戸市北部の鉄道路線を経営する企業で、本社は神戸市兵庫区にあります。路線は4線で、急勾配と急カーブの多い山岳路線であることで知られています。阪急電鉄の系列会社です。「しんてつ」と呼ばれます。

 急峻な六甲山地を上り下りする区間が多いためスピードアップが難しく、また比較的古い都市近郊鉄道としては運賃が高額であるため、沿線を走る路線バスへの逸走が見られます。また、脱線など構内での鉄道事故が多発しています。なお、山陽電気鉄道と同様、一部の主要駅を除いて遠隔管理駅が多くなっていますが、駅併設の売店が営業しているケースが多いせいか、山陽ほどには駅が荒れているという印象はありません。

 前身は「神戸有馬電気鉄道」(有馬線と三田線)および「三木電気鉄道」(粟生線)です。神戸有馬電気鉄道は、バス事業をいったん神姫合同自動車(現在の神姫バス)に譲渡したものの、戦後は三木電気鉄道を合併、社名を「神有三木電気鉄道」を経て「神戸電気鉄道」と変更しています。現在の「神戸電鉄」の名称になったのは、1988年のことです。

(2006年10月14日)

【URL】 http://www.shintetsu.co.jp/

★1994年8月24日、フラワータウンにて完乗(その後の開業区間も乗車済み)。2005年7月16日、有馬口にて全駅乗降。全駅の写真を掲載しています。

有馬線

 湊川から、六甲山地の西側を迂回しながら鈴蘭台へ出、ここからは山地の北側を東進して有馬温泉にいたる、22.5kmの路線です。全線が1,067mm軌間で、湊川-有馬口が複線化されています。

 湊川から新開地までの神戸高速鉄道南北線に接続していますが、神鉄の全列車が新開地へ乗り入れており、実質的な起点は新開地になっています。新開地発の列車は、鈴蘭台で三田方面行きと粟生方面行きに分かれ、ここまでの小駅を通過する準急列車が設定されています。このほか、ラッシュ時を中心にさまざまな優等列車がありますが、実際には運転本数がごく限られています。鈴蘭台と有馬口で路線が分岐するほか、谷上では北神急行経由で新神戸および三宮へショートカットが可能です。末端の有馬口-有馬温泉は、線内区間運転が基本になっています。

 50パーミルを越える急勾配や急曲線が連続するのが特徴で、湊川から鈴蘭台までの山越え区間はもちろん、それ以降の裏六甲区間も含めて、鉄道の限界に挑戦するような線形が続きます。車両も山岳路線対応の装備となっており、大都市近郊路線としては異色の存在といえるでしょう。

 1928年11月28日、神戸有馬電気鉄道によって、湊川-電鉄有馬(現・有馬温泉)の全線が一気に開通しています。

(2005年7月26日)

駅一覧

湊川長田丸山鵯越-×菊水山鈴蘭台北鈴蘭台山の街箕谷谷上花山大池神鉄六甲唐櫃台有馬口有馬温泉

乗車履歴

三田線

 有馬線の有馬口から、岡場、横山を経て三田へいたる、12.0kmの路線です。有馬線と比較すると比較的平坦な場所を走ります。沿線は神戸三田国際公園都市として住宅開発が進んでおり、これを受けて複線化工事が段階的に進められています(2005年7月現在、岡場-田尾寺および横山-三田が複線)。沿線は西宮・神戸両市にまたがる工業地域にも近いのですが、工場や流通センターなどからは離れており、こちらへの通勤需要はあまりなさそうです。

 横山-三田は、事実上公園都市線との共用となっており、有馬口方面行きとウッディタウン中央方面行きが交互に三田を発車しています。横山以南では、ほぼすべての列車が有馬線経由で新開地まで直通しています。かつては道場南口以南の折り返し列車が多数運転されていましたが、神鉄道場以北の各駅がホーム延長を行ったことを受け、現在では区間運転の列車は少なくなっています(ラッシュ時に、岡場折り返しの列車があります)。

 1928年12月18日、神戸有馬電気鉄道の手によって、唐櫃(現・有馬口)-三田の全線が開業しました。当時は官鉄の有馬線がほぼ平行して走っており、どうして免許を取得できたのか謎ではあります。

(2005年7月28日)

駅一覧

[有馬口]-五社岡場田尾寺二郎道場南口神鉄道場横山三田本町三田

乗車履歴

公園都市線

 有馬線の横山からウッディタウン中央へいたる、全長7.5kmの路線です。全線単線ですが、将来の需要増を見据えて複線用の用地が確保されています。

 北摂三田ニュータウンのアクセス路線として開通しましたが、三田市の市街地をぐるりと大回りするために距離が長くなっているうえ、神鉄の運賃自体が高いために利用客が伸び悩んでいます。JR新三田駅や神戸方面へ直通する路線バスが整備されていることもあり、苦戦しているのが実情です。

 1991年10月に横山-フラワータウンが先行開業し、さらに1996年3月にウッディタウン中央までの区間が開通しました。

(2006年10月12日)

駅一覧

[横山]-フラワータウン南ウッディタウンウッディタウン中央

乗車履歴

粟生線

 鈴蘭台から、三木、小野を経て粟生へいたる、29.2kmの路線です。西鈴蘭台-藍那、川池(信)-押部谷が複線化され、これ以外の区間は単線となっています。2003年11月30日から、5両編成の列車をのぞき、全区間でワンマン運転が行われています。

 鈴蘭台地区から三木市にかけて広がっている新興住宅地と、神戸市内を結んでいます。沿線は観光資源に乏しく、通勤通学輸送が主体となっています。しかし、神鉄各駅と三宮を直結する神姫バスの路線が張り巡らされており、居住性や普通運賃、区間によっては所要時間で、神鉄は苦戦しています。急勾配や急曲線が多く速度の制約が厳しいことにくわえ、三宮や元町へ向かう場合には乗り換え(新開地または湊川)が必須なのが痛いところです。大半の駅が無人駅され(正確には、拠点駅をベースにして係員が巡回)駅のくすみが目立っていることも無視できません。既存の駅周辺は古くからの集落に接しており、開発されているニュータウンは駅から離れている場合が多くため、直通バスを使うメリットが大きいこともあります。

 1936年12月28日、三木電気鉄道によって鈴蘭台-広野ゴルフ場前が開通しました(「私鉄史ハンドブック」では26日ですが、神戸電鉄公式Webサイトのデータに従います)。翌1937年12月28日には三木東口(現・三木上の丸)、1938年1月28日には三木福有橋(現・三木)へと順次延長されました。戦後の1947年1月9日に神戸有馬電気鉄道と合併され、神有三木電気鉄道三木線となり、1951年12月28日には電鉄小野(現・小野)へ延伸され、1952年4月10日には粟生までの全線が開通しています。

(2005年8月1日)

駅一覧

[鈴蘭台]-鈴蘭台西口西鈴蘭台藍那木津木幡押部谷緑が丘広野ゴルフ場前志染恵比須三木上の丸三木大村樫山市場小野葉多粟生

乗車履歴

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